出版社内容情報
中世の開幕となった平治の乱.その悲劇の顛末を流麗かつ雄勁に物語る『平治物語』.その創造の秘密とつきない魅力を,待賢門の合戦,義朝の最期,常葉都落ちなど名場面の読みをとおしてさぐる.
内容説明
平治元年十二月、京の都は戦乱の巷と化した。武者の世の到来を告げる平治の乱の勃発である。この戦乱の顛末を活写した『平治物語』は、軍記物語の雄篇として読む者を魅了してやまない。躍動感あふれる待賢門の合戦、義朝の悲愴な最期、常葉の都落ちなど名場面を読み解いて、その魅力の源をたずねる。
目次
忠臣の形象(平治の乱の経緯;「武」の重視―物語の序文;清盛帰洛―反乱鎮圧者の登場;光頼卿参内―朝廷への忠義;清盛像の真実―王朝維持を望んでいた原作者)
大内裏の攻防戦(追討軍進発;悪源太義平と重盛の対決―待賢門合戦;追討軍引きあげ;体験談の影―物語の素材;成立期と作者圏)
源氏の悲劇(義朝の最期―金王丸の報告談;常葉の都落ち―母として;六波羅出頭―娘として;常葉譚の成立事情―盲女の語りと清水寺;作品の全体像)