出版社内容情報
国際社会において確実に発言権を増しつつある小国は,近代以降現代にいたる各時代に,どう評価されどの様な役割を果してきたのか.その実態と変容を五つの段階に区切り,史実に即して精細に辿る,新たな国際関係史.
内容説明
近代以来の国際関係の歴史の中で、「小国」がどのような存在の仕方をしてきたかについて考察する。超大国を軸とするパワー・ポリティクスの原理の動揺期に問う―小国とはなにか、そして国家とはなにか?
目次
序章 本書の課題
第1章 「小国」論の系譜
第2章 近代的「小国」の成立
第3章 中立的「小国」の増加と連合志向
第4章 「小国中立」の虚構化
第5章 「小国」の浮上
第6章 「小国」の凋落
第7章 「小国」の復権
第8章 「小国」問題の現況
第9章 「戦後」日本の「小国」像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hurosinki
3
近代以降、大国と小国の格差が絶対的になるにつれ、小国の安全保障は文字通り死活の問題となった。細谷雄一先生の整理に従えば、戦争を防ぐ国際秩序には均衡・協調・共同体の三層があり、その中で秩序の基礎を成すのが均衡のシステム、即ちバランス・オブ・パワーである。しかし(ミアシャイマー氏が中小国を考察の対象に入れなかったことからもわかるように)パワーゲームにおいて小国それ自体は実効的なプレゼンスを持たない。ために、国際共同体の発展や、外交関係の樹立などの協調を通した国際秩序の維持に積極的になったのだと思う。2019/10/10
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