出版社内容情報
1981年5月ミッテラン政権が誕生し,社会主義の実験の機会が到来した.社会主義の理論をかかげた人々は,いかにして権力に到達し,どのような試行と錯誤をかさねたのか.伝統的な超集権国家制度のもとでの改革を分析.
内容説明
1981年5月ミッテラン政権が誕生し、社会主義の実験の機会が到来した。社会主義の理想をかかげた人々は、いかにして権力に到達し、現実と夢の相克のなかでどのような試行と錯誤をかさねたのか?伝統的な超集権的国家制度のもとでの停滞と改革の困難性、国の独立と偉大を核戦力にもとめる新たな核愛国主義の台頭、知識人の沈黙などを流麗な筆致で描くパリ通信第7集。
目次
薔薇の名において―まえがきにかえて
1 さくらんぼうの実るころ―フランスの左展開
2 ヨーロッパ社会主義の逆説
3 フランス左翼の実験
4 セーヌ左岸の暮れ方―フランス左翼と知識人
5 ムルロアに盲いて―グリーンピース事件顛末
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NY
6
本書は81年から86年のフランス左派政権の苦闘を描いているが、過去から現代に至る、欧州及びフランス政治の特質と論点が集約されており、欧州政治の最高の入門書だと思う。特に左派、つまり反資本主義の立場をとる政党が政権を取った時に宿命的に抱える矛盾と、その矛盾への対応がよくわかる。とはいえ、そもそもフランス社会党はその成り立ちをみても純粋な左派でないことは明らかで、一部の特記すべき社会政策を除き右展開していったのは必然ともいえる。彼らの在り方は日本の民主党政権にも参考になったはずだ。2019/09/14