出版社内容情報
幕末から明治にかけて天理教・金光教・大本教などの民衆宗教が誕生した.本書はその成立の社会的背景から天皇制権力との対立と妥協の歴史までを具体的に考察し,創始者たる教祖たちの独自な宗教意識の意義役割を解明.
内容説明
単なる俗信や現世利益(りやく)の追求を超えて民衆宗教を創始した生き神=教祖たちの独自の宗教意識は、民衆の自己解放・変革とどのようにかかわりあい、またどのように継承され、あるいは変貌していったのか。本書は金光教のケース・スタディを中軸に置きながら、このような民衆宗教成立の社会的背景と、日本の近代化の過程において天皇制権力と苦闘しながら妥協の道をとるにいたった過程を、事実に即して考察する。
目次
日本の近代化と民衆宗教
民衆宗教における“近代”の相剋―教派神道体制下の金光教
斎藤重右衛門のこと―ある民衆宗教布教者のプロフィール
戦争と信仰―『〓子』と大久保さん父子のこと
生き神の思想史―神と人とのあいだ
ナショナリズムと民衆宗教
霊と近代―民衆宗教における霊魂観の変遷