出版社内容情報
鴎外自身の体験を基に書かれた、美しい踊り子と孤独な留学生の悲しい恋物語一九世紀末のドイツの都ベルリンを舞台に、有望な青年官吏太田豊太郎と美しい踊り子エリスとの悲恋を、浪漫派的雅文体で綴る名作。ふりがな付き原文と現代語訳の両方で楽しめ、地図・図版満載のビギナーズ版。
角川書店[カドカワショテン]
著・文・その他
谷口 広樹[タニグチ ヒロキ]
著・文・その他/イラスト
内容説明
19世紀末、エリート官僚太田豊太郎は、明治新政府の期待をになって先進国ドイツに派遣された。自由な気風みなぎる大都会ベルリンで、自我に目覚め孤立した豊太郎は、寂れた裏町で美しい踊り子エリスと出会う。やがて恋に落ちた二人に訪れる悲しい運命。鴎外自身の留学体験を基に書かれた浪漫派の名作『舞姫』が、分かり易い通釈、格調高い雅文体原文(総ルビ付)の両方で味わえ、鑑賞に役立つ図版・コラムも満載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たち
23
「舞姫」を読んだのは、学生の時以来で、内容もよく覚えていませんでした。こちらは、ビギナーズブックだけあって、大変わかりやすい解説付きで、こんなにも、主人公の豊太郎は勝手な奴だったのか!と、驚きました。「若気の至りだから仕方ないよね~」的なラストはあまり好きじゃ無いです。2017/06/10
風鈴
5
本家本元は読んでませんので、あしからず。口語訳、原文、解説の三段構えで、最初は面食らったけど、とても理解しやすかった。それにしても、主人公にやたらと批判的なのだけど(いや、主人公がそもそも悪いんだけどね)、そこが引っかかったかなー2018/12/06
三色かじ香
4
高校の頃は、国語の先生にめっちゃ非難されてる豊太郎かわいそう、くらいに思ってたけれど、大学生になって、小説やブログやTwitterを見て恋愛ごとや妊娠に対する価値観が変わったのか、豊太郎が最低なことがよく理解できました。2020/04/12
ドラぽよ論理学者
4
全文ルビありというだけで買う価値あり。それが丁寧に、そして決して信者的でなく鋭く批判もしている公平さ。買いでしょう。2018/02/18
リリウム
3
豊太郎の自己陶酔に満ちた保身的な口述にどうしようもなく情けない気持ちになりつつも、そこにとてつもなく人間味を感じ、恋愛における男女の温度差はいつの時代も共通なのだなと少し皮肉に思いました。現代語訳の比較的オブラートな上品さと原文の淡々とした生々しさとの対比もまた面白かったです。2020/04/18