出版社内容情報
才気煥発な下男が大活躍する芝居である.例によってけちで横暴な親爺に苦しめられる青年が,下男スカパンの手練手管にたすけられ,ジプシー女との恋を成就する.と,実はこのジプシー女は親爺が息子の嫁にしようとしていた素姓正しい娘であったことがわかり,スカパンの計略は徒労に帰する.一六七一年.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
117
息子たちの依頼で吝嗇な父親たちを騙して結婚資金をせしめる従僕。表紙も人物説明も完全にネタバレしているが、全員が正直に話せば端から万事解決という前提を念頭に入れた方が寧ろスカパンの悪だくみが引き立つかもしれない。身代金の出し渋りを説得する場面は当時の訴訟制度の負担と腐敗を匂わせ、劇中劇はライバル劇団の大袈裟な演技を風刺する格好のガジェットになった。特に主人を袋付めにして襲われている振りをしながら叩く場面は、演者スキルを大いに試しそうだ。『いやいやながら医者にされ』ほどのキレはないがコントテイストの強い笑劇。2023/10/07
フリウリ
7
強欲な父親たちの息子らがそれぞれ恋に落ち、結婚する、しないで金が必要になったところ、家来のスカパンの悪だくみで、父親たちからは金を巻き上げ、かつ結婚もうまくいく、というお話。最後は無理筋の決着ですが、アクション的要素もあり、舞台映えする作品ではないかと思いました。1671年初演。72024/04/08
S.Mori
6
モリエールの戯曲はどれも面白いです。この作品も愉快なお話で、楽しく読めました。結末がハッピーエンドなところも気に入っています。スカパンと呼ばれる下男が舌先三寸でピンチに陥っている主人の息子を救います。頑固で息子の事より、世間体しか考えない父親がスカパンの巧みな策略にまんまと騙されるところが痛快でした。2019/06/22
Schuhschnabel
3
モリエール9冊目。悪知恵のはたらくスカパンが、息子が勝手に結婚することに反対する父親たちをなだめようとするが、結局危ない橋を渡っただけの徒労だったという話。パターンに慣れてきたせいか、読む分には面白さがわからない。2018/07/25
きりぱい
3
出来すぎ~!あまりの出来すぎ展開に、スカパンの悪だくみが無意味なものになってしまっているというおかしさ。結末の読める展開をどうドタバタしてくれるか、がモリエールの面白いところ。欲得尽くに走るスカパンは無茶だけれど、袋のシーンはその無茶ぶりが笑える。謀られる方は気の毒なのだけど。2010/05/10