紀伊國屋書店出版部8月の新刊『消費社会の神話と構造 新装版』
1970年にいち早く「消費社会」という概念を提示し、時代を拓いた先駆的名著に、新たに索引と、幻の原書初版からボードリヤール自身による写真2点を付し、このたび新装版として刊行いたしました。
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消費社会の世界規模での巨大な増殖によって、ボードリヤールが本書の末尾で予告したとおり、あらゆる種類の反社会的言説、消費社会に対する批判的言説さえもが、消費対象として記号化され「回収」されてしまったかに思える今日、そして欧米消費社会をしのぐとも思える集団的消費社会(帰属集団と同じモノを消費しつづけないと誰もが不安になる社会)を実現し、批判的で反抗的な精神が無力化されつつある現在の日本においてこそ、本書のこの「異議申し立て」的性格をふたたび強調しておきたい。(「訳者あとがき」より)