内容説明
言語学の語用論分野に関連する「モダリティ・謝罪・ポライトネス」を探究する著者自身の論集。前半では、日本語と中国語にはどういった普遍性があり、また、誤解やステレオタイプがどんな影響を及ぼすのか。そのメカニズムを明らかにする。(1~6章が日本語、7~9章が中国語による論文です。)
■「まえがき」より抜粋
本書は言語学の語用論分野に関連する3つのトピック─モダリティ・謝罪・ポライトネスによって構成された論文集です。まえがきと序論を除き、全部で9本の論文が収録されています。各章の概要は以下の通りです。
第1章は、中国人と日本人の間の異文化コミュニケーションにおいて発生した発話意図への誤解──「過剰含意」に関する研究です。第2章は、日本語と中国語の間の命題モダリティ表現の翻訳において過剰含意を抑制するためにとられる翻訳ストラテジーについて論じたものです。第3章は、パーマー(Palmer, F. 2001)のモダリティ体系のモデルに基づき、中国語モダリティ表現の体系を構築しようとしたものです。第4章は現代中国語の謝罪発話行為の類型について論じたものです。第5章は現代日本語の謝罪発話行為の表現と機能の類型に関する研究です。第6章は、20世紀の日本語学の敬語研究の成果を日本語論だけに閉じ込めず、そこから自然言語が共有する普遍的な要素を見出し、それに基づく新たなポライトネスの普遍理論を構築する可能性を探ったものです。第7章は中国語の伝統的な敬語表現の形成とその組織的体系について論じたものです。第8章は、中国の(前漢、新、後漢を含む)漢代頃(紀元前202~後220)の訓詁学者たちが訓釈を施した古代中国語の対人関係機能について展望したものです。第9章は、日本人学生を対象とする中国語教育の敬語問題と現代中国語の「礼貌(リーマオ)」(ポライトネス)の表現形態について論じたものです。
目次
序論
1. AI言語モデルでは含意・意図が伝達できるか―主観性の壁
2. 「天才でごめんなさい」は詫びているか―ことばの現代アート
3. 東アジアの敬語研究はいつから始まったか―訓詁学の知的遺産
第1部 モダリティ
第1章 日中命題モダリティの異文化語用論
―「過剰含意」発生のメカニズム
1. 問題提起―モダリティにまつわるカルチャーショック
2. 研究概要
3. 「過剰含意」発生のメカニズム
4. むすび
第2章 日中命題モダリティ翻訳のストラテジー
―曖昧性調節の「文化フィルター」
1. はじめに
2. 問題の提示
3. 翻訳理論の「等価」モデルによる検証分析
4. 翻訳ストラテジーによる関与手続きの解析
5. むすび
第3章 現代中国語のモダリティ表現の機能体系
―パーマー・モデルの適用
1. はじめに
2. 研究の背景と方法
3. 中国語モダリティの体系像
4. 事象モダリティの諸機能
5. 命題モダリティの諸機能
ほか



