内容説明
戦乱止み,文化の花開く泰平の世へ.家綱・綱吉から吉宗を経て家治まで,17世紀半ばからの百年余をみる.安定には安定のための仕組みがある.武威重視の価値観を転換する,どのような政策が打ち出されたのか.新田開発や流通網の整備,歌舞伎・相撲などの娯楽の広がり,朝鮮や琉球との往来など,躍動する時代を存分に描く.[全5巻]
目次
はじめに
第一章 東アジアの動乱と平和の訪れ
1 明から清へ
2 朝鮮通信使
3 琉球王国
4 アイヌ社会
第二章 江戸幕府の権力機構
1 政治体制の整備へ
2 天皇・朝廷の存在と活用
3 宗教統制と寺社勢力の位置
第三章 新たな価値観の創出
1 「将軍権力」の演出
2 価値観の転換
3 儀礼と朝廷
4 貨幣改鋳と富士山噴火
5 弱体将軍と新井白石の政策
第四章 豊かな経済、花ひらく文化
1 増大する生産力
2 発展する商品経済
3 武家と公家の文化
4 町人の文化
第五章 「構造改革」に挑む──享保の改革
1 吉宗政権の初期政治
2 吉宗の財政再建
3 制度の充実
第六章 転換期の試み──田沼時代
1 田沼意次の政策
2 朝廷復古の兆し
3 身分制度のゆらぎ
おわりに──格差社会の広がり
あとがき
参考文献
年表
用語リスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぴー
90
本書は1651年〜1791年頃を書いた通史。家綱、綱吉、吉宗、田沼政権それぞれのおもな特徴を分かりやすく記述している。同時期の社会の発展や変容も理解しやすい。江戸時代の発展期→転換期を知るにはベストの一冊。個人に社会の変容に興味を持った。町人の果たす労働を、金銭を支払うことで専門の人に代替してもらうという考えが江戸中期に出現していたことに驚く。そして、どの政権にも共通しているのが財政難と自然災害。この二つの課題を解決するために、幕府もあらゆる手を尽くしたのだろう。転換期→幕末期も早く読みたいですね。2026/05/08
1.3manen
30
泰平:世の中が穏やかに治まること(ⅰ頁)。どうも社会安定には文化を庶民がエンジョイしていることが条件になっているような気がする。現代も文化の自由が奪われれば不安定になろう。あと地震や噴火(富士山に浅間山など)といった自然災害や、人災の大火、疫病がないとか。家綱政権安定は、1665年に証人制度(譜代大名を除く35大名に、重臣の長子を江戸の藩邸に人質として置かせた制度)を廃止したことに表れている(40頁~)。綱吉では武威→学問文化重視へ(74頁~)。 2015/08/17
coolflat
18
四代家綱~十代家治まで。大陸中国では明清交代期にあたる。中国との連関性。武断政治から文治政治への転換は、家綱が行い、綱吉が徹底したが、これは中国と関係する。明滅亡は1644年。並行して家綱が文治政治へ転換した。中国の秩序が安定するのが三藩の乱終結~鄭氏台湾滅亡に至る1683年。綱吉の時期にあたるが、もはや東アジアにも国内にも不安定要素がない状況で、軍事指揮権を発動し、将軍の絶対性を示す権力編成の方式は相応しくない状況になった。綱吉は武威を後退させ、忠孝・礼儀を尽くした身分秩序維持による主従制の安定を図った2017/12/04
yamahiko
18
将軍と彼を支える側近が何を目指そうとしたのか、朝廷をどのようにコントロールしようとしたのか。本朝の周辺とどのにように付き合おうとしていたのか。近世後半に至るまでの基本的な流れを確認できました。2016/09/17
fseigojp
13
ポルトガルも去り、中国も明清交代が終了し天下泰平となる ポルトガルを去らしめた武力が、急速に陳腐化していく2020/04/21




