集英社学芸単行本<br> 旅から生まれた名画

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集英社学芸単行本
旅から生まれた名画

  • 著者名:中野京子【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 集英社(2026/06発売)
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  • ISBN:9784087817805

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内容説明

なぜ「旅」は、かくも多くの名画を生んだのか。
「怖い絵」シリーズで知られる中野京子が、画家の視点が変わった〈運命の瞬間〉を、「旅」という切り口から読み解く。

もし、その一歩がなかったら、あの名画はこの世に存在しなかったかもしれない。
本書は、宗教画から近代絵画、異文化交流の痕跡までをたどりながら、旅が画家にもたらした変化と、その結晶としての名画の背景をひもとく一冊である。
旅とは単なる距離の移動ではなく、世界の見え方が更新される体験であり、心の揺らぎそのものだ。
中野京子が、旅する画家たちの光と影、希望と不安を、「時間」と「記憶」という視点から丹念にすくい上げていく。

【内容】
星に導かれ、遥かな地を目指す〈東方の三博士〉。
肉体を離れ、感情や記憶が進んでいく〈心の旅〉。
空を渡る影に祈りを託す〈子供の旅〉。
恋に揺れ、人生を揺さぶられる〈恋の旅〉。
祈りと信仰が折り重なる〈巡礼の旅〉。
異国の絵画にひそむ和の気配――静寂の中で時を超える〈日本製品の旅〉。

このほか、森の中、強いられた旅、冬の旅、船旅、巡業、遍歴の騎士たちなど、時代と地域を越える〈旅〉をテーマにした全20編を収録。
恋や信仰、孤独、そして文明へ――旅はやがて、絵画の世界そのものを変えていった。

【本書に登場する主な画家】
ティソ、リヴィエール、リッピンギル、ゴヤ、ブリューゲル、ティツィアーノ、カーガー、ホイッスラー、サージェント、ドガ、ランドシーア、ターナー、ヴァスネツォフ、モロー、そしてホッパー。
時代と地域を越えて描かれる名画の数々から、移動の先で芽生えた視点の変化と、その静かな余韻をたどる。

【こんな方におすすめ】
旅が好きな人に。
名画の見方を変えたい人に。
一枚の絵の奥にある「時間」と「記憶」を知りたいすべての人へ

【著者プロフィール】
中野京子 なかのきょうこ
北海道生まれ。作家・ドイツ文学者。西洋の歴史・芸術に関する広範な知識をもとに、歴史や名画の解説書、エッセイを数多く執筆。2007年に上梓した『怖い絵』シリーズが好評を博し、17年に『怖い絵』展、22年には『星と怖い神話 怖い絵×プラネタリウム』を監修。著作は、人気シリーズ『名画で読み解く 12の物語』『名画の謎』『美貌のひと』のほか、『名画の中で働く人々――「仕事」で学ぶ西洋史』『西洋絵画のお約束』など多数。

目次

東方の三博士
心の旅
子供の旅
恋の旅
巡礼
森の中
強いられた旅
冬の旅
馬車
駅と乗客
鉄の馬
船旅
日本製品の旅
巡業
旅の副産物
動物たちのアルプス越え
空の旅
遍歴の騎士たち
旅の守り
旅の終わり
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

読特

40
鶴の飛翔を仲間から1人外れて眺める少年。いつかこの場所を抜け出せる日を願って。…公園を歩くカップル。幸せな日々の13年後に大戦が起きる。2人はどんな運命を辿ったであろうか。…零度を下回らないベツレヘムに雪を降らせ、イエス誕生時の風景を描く。他国に占領されたフランドルの過酷な現実に思いを寄せて。…子供の旅、恋の旅、冬の旅。騎士がいて、巡業して、日本製品を持ち帰る。翼をつけ、箒に跨り、絨毯に乗る、空の旅。馬車と船に蒸気機関車。旅を起点に絵画を巡る。始まって、途上があり、終わりが来る。時空を超える読書を楽しむ。2026/07/13

oldman獺祭魚翁

34
久しぶりの中野京子氏。「空飛ぶ絨毯」の壮大なカバー絵に惹かれて借りてしまった。中に三枚ほどお気に入りが有ったので、まぁ良かったと思う。特にリヴィエールの「エデンの園」は知る人ぞ知る名画らしいが、不勉強で今回本書で知ることとなった。他にも風俗画で素晴らしい絵が有ったがそれはそれぞれが読んで頂くしか無いだろう。少し詳しい感想はこちら⇒https://www.honzuki.jp/book/363944/review/329534/2026/08/13

紅咲文庫

26
ホッパー『二人のコメディアン』以下抜き書き◾️ホッパー作品はどれも、アメリカのありふれた都会や田舎の情景をリアリズム手法で描きながら、画面の異様な静けさ、人物の孤立と孤独感の深さ、極度の明暗表現などによって、逆に現実が異化された印象を与える。それは映画的とも言えるし、見るものに強制的に「物語」を紡がせる力、と言い換えられよう。(p.218)2026/08/25

風に吹かれて

19
 いろいろな旅がある。「心の旅」、「恋の旅」、「巡礼」、「船旅」、「巡業」などなど。旅を切り口にして本書は名画を紹介しているが、ときに旅にたとえられる人生を人間は生きているので、旅とは人間のことなのだとしみじみ思う。 旅に憧れを抱くけど、おそらく叶えられないであろうと哀切に満ちた画が印象に残った。それはアレクセイ・ステバノヴィッチ・ステパノフの『鶴が飛んでゆく』 (1891) 。ロシア内奥部の平坦な大地で貧しい村の子どもたちがV字編成で飛んでいく鶴の渡りを見ている。 →2026/08/26

XX

9
目的日程を定められた旅行と、目的を持たず過程を重視する旅とは似て異なるもの。テーマ的に歴史画、物語画などが多いので一枚の画から豊かな物語が立ち上がり、まるで実物を見てきたような細部への解説とも相まってまるで映画を見たような、あるいは小説を読んだような気分になる。締めくくりにホッパーの「二人のコメディアン」を持ってきた構成まで完璧だった。一番のお気に入りはランドシーア「瀕死状態の旅人を蘇生させるアルペン・マスチフ犬」。「心の旅」の章で珍しい著者の心霊体験らしきものが読めたのも面白かった。2026/10/05

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