イエスという男 第二版[増補改訂版]

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イエスという男 第二版[増補改訂版]

  • 著者名:田川建三【著】
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 作品社(2026/05発売)
  • ポイント 28pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784878936814

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内容説明

イエスはキリスト教の先駆者ではない。歴史の先駆者である。
歴史の本質を担った逆説的反逆者の生と死!

イエスという男がどこから来たのか、我々は知らない。「ナザレのイエス」と呼びならわされていたから、ガリラヤ地方の村ナザレの出身だったのは確かだろう。(…)しかし、ある日イエスは決断してナザレの村を出て、あのような活動をはじめた、というのではない。いつ、どのようにして出てきたのか、気がついてみたら、イエスという男はああいう活動をやっていた、ということだろう。(…)だいたい、あれだけの活動が、一つ二つの決心やきっかけでできるものではない。それはイエスという男の生の帰結であり、出発であり、内容であった。――「第一章 逆説的反抗者の生と死」より

【目次】
第一章 逆説的反抗者の生と死
 一 歴史の先駆者
 二 イエスの出生
 三 それならお前はどう祈る?
 四 イエス叙述の方法
 五 イエスは愛の説教者ではない
 六 「十戒」批判
 七 逆説的反抗
 八 貧しい者は本当に幸いか?

第二章 イエスの歴史的場
 一 ヘロデ家とローマ風
 二 ソロモンの栄華
 三 宗教史的背景?
 四 イエスと熱心党
 五 帝国の税金と神殿税(カイサルのものと神のもの)

第三章 イエスの批判――ローマ帝国と政治的支配者
 一 イエスの相手
 二 災害としてのローマ支配
 三 右の頬をなぐられたら
 四 諸国民の支配者
 五 奴隷について
 六 社会関係と神観念

第四章 イエスの批判――ユダヤ教支配体制にむけて
 一 預言者の墓を建てる者
 二 イエスと旧約律法
 三 律法学者批判
 四 「汚れ」と「清め」――パリサイ派の生活支配
 五 「安息日」批判
 六 神殿貴族の権力

第五章 イエスの批判――社会的経済的構造に対して
 一 日雇労働者の賃金もしくは社会的平等
 二 大土地所有、農業労働者、「失業」
 三 分水嶺の両側――地主の慈善、神の前の平等
 四 農民一揆――隠喩的語り口の限界
 五 資本の増殖と能力崇拝
 六 小作人の借金を棒引きにせよ
 七 富に対する直感的な反発

第六章 宗教的熱狂と宗教批判の相克
 一 イエスにおける宗教的熱狂の自己相克
 二 神の国――ユダヤ教の発想
 三 神の国――洗礼者ヨハネの極限
 四 「罪の赦し」を祈りたければ……
 五 イエスと洗礼者ヨハネ
 六 ヨハネの死
 七 倫理観念の異様な拡大?――「姦淫」の女
 八 イエスのまわりの女たち
 九 「神の国」の逆説的批判
 十 宗教的熱狂――病気治癒へののめりこみ
 十一 植民地支配下の奇跡信仰
 十二 イエスの熱狂――異常が日常に浸透しはじめる
 十三 「人の子」――終末論的確信
 十四 「人の子」――一人の人間の確信と絶望
 十五 イエス受難物語
 十六 十字架の死の苦痛

あとがき
索引
ヘロデ家の家系(表)
イエス時代のパレスチナ(地図)

【著者プロフィール】
田川建三(たがわ・けんぞう)(著)
新約聖書学者。
1935年東京にて生、2025年没。
・主な著作
『原始キリスト教の一断面』(1968年、勁草書房)
『マルコ福音書(註解)』上巻(1971年、改訂増補版1997年、新教出版社)
『立ちつくす思想』(1972年、勁草書房)
『歴的類比の思想』(1976年、勁草書房)
『思想の危険について』(1987年、インパクト出版会)
『書物としての新約聖書』(1997年、勁草書房)
『キリスト教思想への招待』(2004年、勁草書房)
『新約聖書訳と註』全7巻8冊(2007~2017年、作品社)
『新約聖書本文の訳』上製本、携帯版(2018年、作品社)
・共著
インタヴュー『はじめて読む聖書』(新潮新書、2014年、新潮社)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

こかげ

13
とにかく「とんがってる」本だった。イエスという人を今の時代に引き寄せて解釈するのではなく、徹底的に当時の歴史、社会の中に視点をおいて、彼の人生を眺めたときに見えてくる人物像を語っている。遠藤周作や井上洋治のイエス像から受ける優しい印象とは違う“逆説的反逆者”イエス。愛や寛容、彼岸の救いを語るのではなく、虐げられた民衆の苦しみを共有し、宗教的支配者からの抑圧を跳ね返す。新鮮で面白かったけど、そのイエスに民衆が何故あれほど慕い付き従ったかの根拠が弱いように思えた。2023/09/22

Midori Nozawa

11
2022年最後の読書となりました。教会の図書を借りて読了。荒井献著「イエスとその時代」で田川氏の名前を知り、こちらの本も読みたくなり手にした。イエスという人が今まで考えていた人物像と大分変ってしまった。けれど私がキリスト教をよいと思ったのは、遠藤周作や三浦綾子や星野富弘等によって描かれたイエス像で、それも間違いとは言えないと思う。聖書を読んで理解に苦しむ聖句がある。そのような聖句の解釈が出ていて興味を持った。本書ではイエスは逆説的な反抗をする人。古代人イエスの時代の政治、神、貧富の差、性差など学べた。2022/12/31

わいほす(noririn_papa)

10
福音書という神の子イエスとしての伝説から史実と思われるものを抽出し、人の子イエス本来の生き様、真実を描こうとすれば、多かれ少なかれその著者の思い描くイエス像が反映され、著者の心の鏡となって現れる。それはあまりにも歴史的情報が少ないせいなのか、それともイエスそのものの持つ器の大きさゆえなのか。 田川氏の描くイエス像は、現状を支配する「真理」を拒否する逆説的反抗者であり、それは数多の神学者や歴史学者のイエス像を皮肉とともに切って捨てる田川氏そのものに見える。(以下コメントに続く)2018/03/21

無識者

10
イエスの言動を永遠普遍の真理としてではなく、その時代、状況から解釈することで、イエスという人物像が浮かび上がる。イエスは反骨精神の塊のような人で、利害特質なしに自分の信念に忠実に生き、当時の救いにならないようなシステムをひっくり返していくのだ2016/12/18

Mikio Katayama

8
文献学的成果を踏まえ、福音書を徹底的に読みこむことによって、歴史的イエスの姿に到達しようという試み。田川は逆説的反抗者としてユダヤ社会に抹殺されたイエスの姿を見出した。田川の攻撃的な筆致によって描き出されたラディカルなイエスは、あまりに現代的で人間的過ぎるようにも感じられる。キリスト教の世界の内側ではこのような生々しいイエス像が受け入れられたことはなかっただろう。田川の強引で暴力的な筆致は魅力的だ。いくつかの解釈に強い共感を覚えた。2016/09/08

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