出版社内容情報
文庫で歌論を読めるのはソフィアだけ! 題詠の方法、幽玄論などの歌論のほか、先人から同時代の歌人までの、説話的な話も収録した書。中世和歌研究の第一人者による最高峰の注釈で読む!
内容説明
『方丈記』の作者、鴨長明の歌論書。和歌に関する知識を網羅したり秀歌論を展開するそれまでの歌論とは違い、歌人たちの逸話や世評、宮廷歌人だった頃の楽しい思い出なども楽しめる肩のこらない説話的な内容をあわせもつ。一流の歌人としても知られた長明の人間像を知る上でも貴重な書をはじめて文庫化。中世和歌研究の第一人者による、詳細な注と分かりやすい現代語訳ですっきり読める、最高峰の古典注釈。重要語句・和歌索引付き。
目次
題の心
続けがら善悪あること
海路を隔つるの論
「われ」と「人」と
晴の歌を人に見せ合はすべきこと
名無しの大将のこと
仲綱の歌、いやしき言葉を詠むこと
頼政の歌、俊恵選ぶこと
鳰の浮巣
「このもかのも」の論〔ほか〕
著者等紹介
久保田淳[クボタジュン]
1933年東京生まれ。東京大学卒業、同大学院博士課程修了。文学博士。東京大学名誉教授。専門は中世文学・日本文学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エビケン
2
『方丈記』でおなじみの鴨長明が、打ち込んだ和歌を巡る思い出話をつづった1冊。若かりし頃の様々な歌会での思い出や、後鳥羽院の和歌所での役人として和歌について取り組んできた思い出から、歌についてのことを語ります。万葉集から、勅撰和歌集の知識に、うたわれる地名の由来など知らなければならないことが多くて大変なことや、今の流行りのスタイルか、昔からの古歌のスタイルかといった議論があったことなどが興味深い1冊でした。とにかく歌会の判者は大変だなと、そして判者によって判定も変わる可能性もあるので、それもまた大変だなと2022/03/24
でろり~ん
2
心惹かれる古典というのがあって、国文学など勉強したこともないけれど、何冊かそういうのがありますです。歌学書というジャンルになるらしいけれど、かなりくだけた内容もあり、現代でも充分に生きている感じですね。和歌の良さについては「尽くして書くべからず。これらにて心得つべし」というのが結論であったとしても、納得させられる。鎌倉時代の長明が昔の人は、などと歴史を語る。そうなんだね、幽玄というのか、この島国でずっと続いている雅風、わびさび、あはれを感じ取るこころ。悠久の静かな時間を味わうことができた。気がしました。2016/06/10
まあい
1
一流歌人鴨長明による、有名歌人の黒歴史記録。エッセイ感覚で読めて、非常に面白い。2013/07/12