内容説明
古い映画,新しい映画というものはない.どんなに昔に撮られたフィルムでも,今ここで観ているかぎり,もっとも新しいフィルムなのだ.実写とアニメ,劇映画とドキュメンタリー.これまで信じてきた映画の枠組みが,どんどん解体していく.映画には単純な歴史などない.ただいつまでも変化していくばかりなのだ
目次
Ⅰ 映画史への提言
1 南インドの教え
2 映画史を教える
3 歴史と映画
4 国家という単位
5 時代の設定
6 複数の層と水準
Ⅱ 映画史はいかにして可能か
1 複数の歴史
2 サイレントの継承者
3 夢のスクリーン
4 ファシズムの魅惑
5 誰がパゾリーニを畏れるか?
6 音声とはなにか?
7 日本映画と弁士
8 映画と恐怖
9 オペラから映画へ
10 歌舞伎と映画
11 メロドラマのすばらしさ
12 観ることの歴史
Ⅲ 日本映画研究の三十年
1 日本映画研究への提言
2 「映画史」から「映画誌」へ
Ⅳ 映画はいかに語られてきたか
引用 1895-1998
用語集
あとがき
岩波現代文庫版へのあとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Sam
43
既読だが文庫化(増補加筆あり)を機に再読。歴史や国家、時代設定といった大きなテーマから、サイレント、夢やファシズム、あるいはオペラ・歌舞伎・メロドラマといった隣接ジャンルとの関わり等、映画を観る・語るうえで認識しておくべき様々なテーマが著者らしい硬質な文章で密度濃く述べられている。30年近く経っても色褪せない内容で今回も面白く読了。なお、初版時の「映画史」から今回は「映画誌」とされているが、これは「映画について言及し、映画に関わることの一切を表象する言説の集合体」としてはこの方が適切だと考えからだそう。2026/05/29
A.T
21
1895年リュミエール兄弟がシネマトグラフを発明して100年が経過した頃に執筆した映画史概論から、時間軸と地理軸を突破しつつ自由な評論活動の意味を込めて造語「映画誌」と命名した四方田犬彦独自の映画論まで。読み逃せない内容がぎっしり。個人的には、制作する側の目線を初めて意識した映画「そして船は行く」(フェリーニ1983年)についての部分「…冒頭のわずか十分間のうちに、これまで映画が体験してきた変遷を一気に圧縮して見せてしまう…」乗客、つまり主な登場人物が豪華客船に乗り込む冒頭のシーンが、モノクロの2026/04/27




