内容説明
猫のいない寂しさは埋まるのでしょうか。
生活に猫が足りていないことは、わかっていた――。SNSには猫画像が溢れ、持つ者が自慢するそれを、持たざる者は眺めるばかりだ。愛猫・斉藤くんとお別れして15年近く、心にぽっかり穴を空けていた著者は、その穴を埋めるべく植物を育て始めた。担当編集者に勧められるがまま、なぜか椎茸から! 椎茸、スプラウト、ヒヤシンス……植物に名前をつけ、水をやり、立派に育てあげ、ときには収穫して食べる(!)。猫に思いをはせながら過ごす約二年の日々を綴るエッセイ集。文庫版には「ロスねこ」のその後を書き下ろしで収録する。ウェブ小説丸でのアクセス数第1位を記録した人気作、待望の文庫化。作家・町田そのこさんによる、著者とその作品への愛が溢れる解説も必読。
※この作品は単行本版『ロスねこ日記』として配信されていた作品の文庫本版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アッシュ姉
66
ロスねこ生活の心の穴を埋めるべく、編集者K嬢のすすめで植物を育てることになったキミコさん。観察日記なのに何でこんなに面白おかしく書けるのか!やっぱ天才。ネーミングセンスに脱帽。楽しくて口角上がりっぱなし。しんみりすることもあったけど、キミコ節が和らげてくれる。愛猫がなくなった穴は新しい家族を迎えることで埋まるのか。はなまるちゃんに話すキミコ先生の答えが素敵で涙。文庫のおまけなので単行本既読の方も是非。2023/10/06
ベル@bell-zou
39
心にぽっかり空いた猫の穴。塞いでみせよう植物で。えっ、植物で?しかもキノコも?…が、そこはケメコ先生の尋常ならざる才能。きせのさこと名を付し、スプラウトきょうだいとして絆を結ぶ。アイドルユニット・キタシンスのデビュー3人がやっと揃い咲き迂闊にも感動。この驚嘆の妄想力。小説でも書けばいいのに。(書いてます 笑)シロツメクサみるとラスカル唄っちゃうのは私もです先生。この頃はご両親ともご存命だったのね…としみじみしていたら同じことを町田その子さんが解説で仰っている。猫の穴は何をもってしても埋められないのだな。2023/07/01
ゆーり
22
単行本で読了済だが、文庫化&書下ろし付きということで購入。そう、この後公子さんは大変だったのだ。お母様の怪我、大地震、お父様の死去、ご自身の闘病生活、そしてお母様の死去。その間を縫ってはなまるはなちゃんがきみこさんちに!今きみこさんの生活には、突然のお母様の死去で違う形の穴が空いているのでは。はなちゃんでも埋められないであろうその穴に、次は何を埋めようとしてくれるか、不謹慎ながら楽しみではある。2023/06/11
Kay
17
書店にて「あ!キミコ姉の新刊が出てる!表紙可愛い!買おう!」と衝動買いした1冊。『ロスねこ』ってことは愛猫との思い出とか猫づくしかな?なんて想像していたところ、愛猫を失ってからキミコ姉の心にぽっかり空いた『猫の穴』を埋めるべく、(編集者が次々と送ってくる)きのこやら植物やらを育て始めるではありませんか。いや、愛猫との思い出も綴られてはいます。きのことの生活の比較対象として。それにしても姉さんの想像力の逞しさ。これからははなちゃんと平和な日常を送りつつ、またパンチの効いたエッセイをお待ちしております!2023/10/24
小梅さん。
17
タイトル買い。 エッセイはほとんど読まないし、初読み作家さんなのだけど、読まずにいられなかった。 北大路さん、面白いなぁ。 猫をなくして長年心にあいた穴を埋めるべく始めたのが編集者に勧められた植物を育てることだったというのがなんとも面白い。 さらに、育てるの植物が、ことごとく食用というのも楽しいし。 読んでよかった1冊。2023/06/27