内容説明
手話通訳士・荒井尚人は、NPO法人「フェロウシップ」からの依頼を受けて訪れた障害者作業所で、盲ろう者の通訳の現場に立ち会う。 人と人との接触が制限されたコロナ禍、視覚と聴覚の両方に障害を持つ彼らのコミュニケーションの場が失われていたことに気づき、 尚人はその境遇に愕然とする。一方、長女・ 美和は、猛勉強の末に幼馴染みの漆原英知とともに、埼玉県内の私立の進学校に進む。部活に力を注ぎながら進路と英知との関係に悩む日々。そして妹の瞳美は、日本手話での授業が実施されている公立の特別支援学校に通い始めた。母親のみゆきも刑事として忙しい日々を送る。そんなある日、瞳美の通う特別支援学校で、大事件が巻き起こり、前代未聞の裁判に荒井家は巻き込まれてゆく──。〈デフ・ヴォイス〉シリーズ堂々の完結編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
149
これで完結・・それでいいのか?作者あとがきで「その後」はスピンオフ(何森シリーズ)で知れるというのが嬉しい。このシリーズは読むほどに辛くなっていった私。知るほどに自分の無知と、社会的不条理を突き付けられてしまうからだ。この国の根本的な問題の一つなんだと思う。沢山のモヤモヤを抱えて、それでも「私たちのことを、私たち抜きで決めないでください。」ここに尽きるシリーズだった。一つ上手く行ってもそれで全てが丸く収まる訳ではないのが現実。丸山さんも私も変化の中で生きてるのだなぁ。2026/07/25
しんたろー
132
5作目は5話の連作…美和の恋愛や高校生活、瞳美が通うろう学校問題、みゆきの警察官としての葛藤、荒井の手話通訳士としての活動を描いている。完結編ということもあって、障碍者を取り巻く現状や法律などをおさらいも含めて丁寧に取り上げている。美和とみゆきが彼女たちの苦悩や選択を最終章の裁判の結果次第で結論を出すという気持ちで括っているのが巧い。障碍者に真摯に向き合いながら、読者に対する啓蒙だけに留まらず、エンタメとしても楽しませてくれて、感謝…丸山さん、有難うございました!自分で映像化できなかったことだけが心残り。2026/08/17
タツ フカガワ
104
手話通訳士荒井尚人とその家族、仲間たちを通してろう者が抱える数々の問題をテーマに、誠実に力強く生きる姿を描いてきた“デフ・ヴォイス”シリーズ5作目の完結編は5話の連作。尚人の次女でろう児の瞳美が通う特別支援学校で、突然担任教師が辞職。が、後任の教師がこれまでの日本手話を使えなかったことから裁判沙汰へと発展し判断は高裁へ委ねられる、というのが最終話「夢見る言葉」。最後、証言台に立った尚人の陳述に思わず涙がこぼれた。2026/08/12
ゆみねこ
78
デフ・ヴォイスシリーズ完結編。新井家の娘・美和は英知くんと同じ進学校の高校生に。英知くんとの関係に悩む美和、妹・瞳美の通う小学校で起きた大問題。母のみゆきは警部補試験に受かり警察官としてステップアップに挑むが…。新井家のこれからはどうなる?そして裁判での新井の陳述。「私たちのことを、私たち抜きで決めないでください」、心の深い部分をえぐられるような読み心地、このシリーズを通して、ろう者のこと日本手話のこと、初めて知ることばかりでした。新井家のこれからは何森シリーズで読めそうなので楽しみに待ちたい。2026/07/26
Ikutan
77
シリーズ完結編。今回も盛り沢山。電話リレーサービス、盲ろう者の生活、手話歌、ろう学校における厳しい現状…。ろう者や手話をめぐる様々なことは、知らなかったことばかり。一方、荒井家の面々にも変化が。猛勉強で英知と同じ高校に合格した美和。部活に勉強、そして恋ごころ。みゆきは、警部補の昇任試験に挑む。厳しい試験の他、希望配属先に行くには新たな条件が。瞳美は小学生に。彼女の通う公立ろう学校では問題が。そして、ついに裁判にまで。エピローグはびっくりだったな。今後は、大人になった美和や英知の会えるのを楽しみに待ちます。2026/08/09




