内容説明
長年、世界の森林と林業を見据えてきた著者が、
自らの知的遍歴をたどることで、
森林生態系と林業、人間社会との関係を鮮やかに浮き彫りにする。
目次
まえがき 環境史から見る森と木材
●森林・林業と経済理論/政治経済学的アプローチへ/「木のルネサンス論」に出会う
第1章 土蔵で出会った大正デモクラシー
〈私の履歴書〉
第2章 林業試験場で森林経営に関わる研究をスタート
第3章 西ドイツ・アベッツ教授の『農家林業』に出会う
1 林業試験場経営部での最初の研究業務は「農家林業」に関わる調査研究であった
●シュヴァルツヴァルトの農民たちの択伐林に秘められた苦難の歴史
2 林業試験場東北支場で小私有林調査を行う
3 アメリカにおける「シマフクロウ」論争とチャック・リーヴェルのこと
●「シマフクロウ」論争についてのJ・ラートカウの見解/〝緑の大連合〟構想とチャック・リーヴェルのこと/C・リーヴェルの提案─信頼に足る認証システムの確立
第4章 一橋大学経済研究所への国内留学とLTESプロジェクトへの参加
【補論】クズネッツ『経済成長─6つの講義』に出会う
第5章 都留重人氏から学んだこと
1 若者を惹きつけた都留氏の魅力
2 都留教授との出会い
3 都留教授の講演記録
●森林と環境保全との関わり/国土防衛基金/〝権利の束〟と森林所有者の受忍の範囲 /TVAの身替り妥当支出の方式/目的税的な国土防衛基金で/経済的・非経済的と分けないで/高まる森林の水源涵養機能への期待/土地の所有権はラッキョウの芯
4 『環境と公害』誌に掲載された拙稿「減り続ける熱帯林と難航する森林条約」
5 「水源林整備における受益者負担」問題への関わり
6 寺西俊一の論稿「公害・環境問題への政治経済学的アプローチ」を中心に
7 堺屋太一氏の日本林業消滅論
8 林業基本法と森林法の改正を契機に環境保全重視に傾く林野庁
9 拙稿「提言 日本国有林改革」(『世界』誌1997年2月号)
10 拙稿「林業再建のグリーン・ニューディール」(『世界』誌2009年5月号)
【補論】 岩波書店との関わり
第6章 コンサルタント・フォレスターとしての本多静六
1 波乱に満ちた静六の生涯
2 荒廃をきわめた多摩川上流域の水源林の復旧に心血を注ぐ
●神戸市背山の教訓/神戸市背山の荒廃と砂防造林/科学者の責任/繰り返された悲劇/百聞は一見にしかず
第7章 異端の物理学者・経済学者からの警告
1 はじめに
●エントロピーの法則と経済のプロセス/自由エネルギーの2つの給源
2 H・デイリーが指摘するGDPをめぐる大いなる誤解
●林業関係者も無関心ではいられない/誤った印象を与えるSDGインデックス
第8章 進化するラブロックの「ガイア」論
●「ガイア仮説」とはどのようなものであったか/地球規模の環境倫理/「ガイア仮説」の精緻化/100歳で新著『ノヴァセン』を上梓したJ・ラブロック
第9章 熱帯林の保全と地元住民の参加をめぐる開発援助問題への関わり
1 熱帯林問題との関わりはどのようにして始まったか
2 原生的な湿潤熱帯林に圧倒される
3 フィリピン・パンタバンガン地域でのJICA森林造成技術協力プロジェクトに関わる巡回指導
●放牧貸付契約をめぐる問題/造林事業における労働力の調達問題
4 地元住民による熱帯林回復のシナリオ
●①はじめに/②ネパールの森林を守る農民たち/③ケニアの農家林業/④インドにおける農家造林の光と影/⑤タイの森林荒廃と土地政策の混乱
第10章 ブランドン『イギリス人が見た日本林業の将来』をめぐって
1 P・ブランドン氏について
2 1985年に政府が策定した長期需給見通しはなぜ誤ったか
3 興隆するイギリス林業
第11章 「自然に近い林業」の顛末
1 酸性雨騒動に関わるJ・ラートカウの見解
2 R・プロッホマン教授の講演「林業資源と環境」
●中部ヨーロッパの森林の歴史から/生態系としての森林/4つの経営方式/森林の経営方式と環境インパクト/生命維持装置としての森林/国土利用と森林経営/保護的生態系への変換計画
3 「森林の死」騒動の後に生じた状況の激変
●状況の変化をJ・ラートカウはどのように見ていたか/転換期にあるドイツの森林・林業政策/温暖化防止は木材生産と矛盾しない?/伝統的な政策理念への回帰/自然の木のよさを再認識する
第12章 ラートカウ『自然と権力』とタットマン『緑の列島』
1 日本に対するラートカウの眼差し
2 C・タットマンの『緑の列島』に対する高い評価
●日本語版『緑の列島』への「訳者まえがき」/『緑の列島』の著者C・タットマン氏の「日本語版への序文」から
第13章 ラートカウの「木のルネサンス」論と林業家・速水勉氏のこと
1 ドイツで実現した「木のルネサンス」とはどのようなものであったか
●進化するラートカウの『環境史』と『木材史』/林業関係者を驚かせたラートカウの「木のルネサンス」論/W・ゾンバルトの「木の時代」からJ・ラートカウの「木のルネサンス」へ
2 尾鷲地方を含む三重県の大規模経営はなぜ崩壊したか
3 速水林業は土井本家の「尾鷲地方森林施業法」の現代版を編み出した
●速水林業が編み出したヒノキ複層林の驚くべき成長力
4 速水家先代当主、勉氏の先を読む驚異的な眼力
5 外国産木材への関税賦課をめぐる果てしない論争
6 大山林所有者に対する評価軸の違い
7 木材生産の長期動向に見る、欧米諸国と比較しての日本の特質
●ドイツの産業革命前夜における「木の時代」の絶頂と終焉/木材・木製品の輸出戦略における日独の大きな落差
第14章 オースター『縮む地球』を読む
1 伝記作家としてのJ・ラートカウとD・オースター
2 『縮む地球』の目次構成
3 現地調査を重視する
4 エピローグ 宇宙船ボイジャーから地球を見る
第15章 ラジャン『第三の柱』を読む
1 R・ラジャン『第三の柱─分極化した世界での地域社会の復権』
●ミルトン・フリードマンの後を継いだR・ラジャン/20世紀初頭に誕生したリベラルな市場デモクラシー/社会保障制度の拡充/社会保障制度の破綻と競争市場の変質/ラジャンが憂慮する現代の危機/包摂的地方主義/日本林業の振興においても包摂的地方主義が欠かせない
2 R・ラジャンが展望する中国とインドの将来像
●中国とインド─類似点と相違点/中国の物語─党のコントロール下での市場の自由化/インドの物語─活力はあるが混沌とした民主主義の強みを活かせるか
【補論】マサチューセッツ工科大学におけるラジャンとアセモグル
第16章 コヤマ/ルービン『経済成長の起源』を読む
1 『経済成長の起源』の概要
●経済成長とは何か/世界は豊かである/アダム・スミスの金言/遠い昔のGDP推計に道を開いたA・マディソンの功績
2 徳川期以降の日本経済の史的展開を二人の著者はどのように見ていたか
●ユニークな日本経済史/日本はどのようにして豊かになったか?
3 東アジアの後発国
4 インドのキャッチアップはなぜ遅れたか
5 中国はいかにして豊かになったのか?
【補論】中国でのODAによる植林事業のフィジビリティ調査
第17章 系統的なサンプリング調査による森林資源把握が生み出す新たな世界
1 木材生産と森林の環境保護効果を対立的にとらえていた薗部林政学
2 旧式の森林資源調査からいまだに抜けられない日本の林野庁
3 サンプリングによる森林資源調査法の確立と状況の激変
4 ドイツで始まったサンプリングによる本格的な森林資源調査
●ドイツの三次に及ぶBWIが切り開いた森林の水平構造と垂直構造の統一的把握
索引
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