岩波新書<br> フェミニズム

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岩波新書
フェミニズム

  • 著者名:江原由美子【著】
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  • 岩波書店(2026/02発売)
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  • ISBN:9784004320982

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内容説明

「女性である」という「普通」のことに差別や抑圧を見出すという「常識外れ」な主張は,どのように生まれ,いかなる変革を成し遂げてきたのか.共感と反感の嵐にさらされながら多様な展開を生んでいる思想・運動.そのあゆみを長期的な視点から振り返り,フェミニズムとはいったい何なのか,わかりやすく語りかける.

目次

序 章 フェミニズムをどう見るか
  フェミニズムはわかりにくい?
  「女性である」ことは何を意味するのか
  広い視点・長期的視点でフェミニズムを見る
  近代社会に対する根本的問いかけとしてのフェミニズム

第1章 近代社会と女性――近代フェミニズムの問題域
 1 フェミニズムの歴史の捉え方
  フェミニズムは、いつ、どこで生まれた?
  人間は誰もが平等、しかし男女は平等ではない?
 2 近代は女性を解放したか
  前近代ヨーロッパとジェンダー秩序
  啓蒙思想のインパクト
  ジェンダー視点の欠落した歴史観
 3 啓蒙主義とフェミニズムの誕生
  声をあげた女性たち
  リベラリズムとフェミニズム
  女性の権利はいかに否定されたか
  公私二元論
  「科学」が果たした役割
  フェミニズムは男性憎悪?

第2章 市民革命と女性
 1 一九世紀前半の西欧社会とフェミニズム
  沈静化
  フランスとドイツの一九世紀
  社会変動に注目する
 2 市民権と徴兵制
  「我々の危機」に動員される
  軍隊への参加による序列化
 3 軍事化された男性性
  「国民の使命」
  武器をとる「男らしさ」
  戦わない男性は「女のようだ」
 4 産業革命と性役割分担
  産業革命がもたらしたもの
  女性の職業参加
  世話し、扶養される存在
 5 一九世紀における女性の働き方
  女性の「居場所」はどこ?
  女性はどこで働いていた?
 6 ヨーロッパの女性運動の展開へ

第3章 女性参政権――イギリスとアメリカ
 1 イギリス近代社会とジェンダー
  身分制が残存したイギリス
  「男らしさ」の地位
 2 慈善活動から女性参政権運動へ
  「生まれと結婚」に左右される
  慈善活動から始まる
  なぜ「他者のため」なのか
  踏み出した第一歩
 3 サフラジェット
  パンとバラを求めて
  実力闘争への転換
  第一次世界大戦
 4 奴隷制度廃止運動から「女性の権利」へ
  女性参政権運動と奴隷制度廃止運動
  セネカフォールズ会議
  運動の分裂
 5 女性労働運動と第一次世界大戦
  アメリカの労働運動
  戦争協力と女性参政権の実現

第4章 社会主義とフェミニズム
  産業化の波と社会主義の広がり
 1 初期社会主義思想とフェミニズム
 2 マルクス主義の誕生
  マルクスと女性解放
  エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』
  女性参政権運動は労働者階級に敵対する?
 3 ドイツの社会主義運動と女性社会主義者
 4 ロシア革命と女性政策
  世界初の社会主義国家
  ソヴィエト連邦の男女平等政策
 5 第一波フェミニズムとはなんだったのか
  「公的領域」への参加
  第一波を引き継ぎ、その先へ

第5章 二つの世界大戦と戦間期における女性
  総力戦体制と女性
 1 英米における女性参政権の成立
  イギリス初の女性議員
  アメリカ初の女性議員
 2 女性参政権成立後の市民社会と女性
  女性参政権さえ成立すれば?
  むしろ補強された性役割分担
  自立への道
 3 第二次世界大戦と女性動員
  最大規模の戦争
  連合国での女性動員
  同盟国での女性動員
 4 第二次世界大戦の終結と戦後社会

第6章 日本のジェンダー秩序とフェミニズム
 1 近世以前の日本のジェンダー秩序
  高かった女性の社会的地位
  平安の女性たち
  中世の女性たち
 2 日本近世のジェンダー秩序
  「イエ」制度と大奥
  『女大学』は何を説いていたのか
 3 明治期から第二次世界大戦終結までのジェンダー秩序
  日本の近代化と新たな緊張
  ジェンダーの転換
  明治政府の女性政策
  日本の第一波フェミニズム
 4 戦後社会と女性参政権の実現
  「婦人の解放」
  「上からの解放」の課題

第7章 第二波フェミニズム――第二次世界大戦後の社会
  戦後のスタート
  再び「家庭」の中へ
 1 「アメリカ的生活様式」と「女らしさの神話」
  憧れの的だった「アメリカ的生活様式」
  中産階級の理想と専業主婦
  社会規範と現実の齟齬
  第二波を準備したもの
 2 第二波フェミニズムの誕生――NOWとラディカル・フェミニズム
  フリーダン『女らしさの神話』とリベラル・フェミニズム
  「自由のためのゴミ箱」とラディカル・フェミニズム
  第二波フェミニズム
 3 第二波フェミニズムの波及――アメリカからヨーロッパや日本へ
  社会主義の影響を受けたイギリス
  ボーヴォワール『第二の性』
  ウーマン・リブ
 4 フェミニズムの諸理論
  学術・出版という展開
  「私的領域」における男女の支配関係
  ラディカル・フェミニズム
  個人的なことは政治的
  マルクス主義フェミニズム
  家事労働をめぐって
  資本制と家父長制
  ポストモダン・フェミニズム

第8章 現代社会とフェミニズム
  ネオリベラリズム
  バックラッシュ
 1 国連におけるジェンダー平等施策の展開
 2 女性の労働参加
 3 「性と生殖に関する権利」をめぐって
  リプロダクティブ・ヘルス
  ライツ
  「私的領域」での暴力に抗う
 4 ネオリベラリズムとバックラッシュ
  反対されたERA
  フェミニズムに反対する女性たち
  人工妊娠中絶をめぐって
  強調される「家族の価値の尊重」
  ジェンダー・フリー・バッシング
 5 消費文化とポストフェミニズム
  フェミニズムからの批判を恐れる女性たち
  ポストフェミニズム
 6 新しいフェミニズムの動き
  冷戦終結後の激動の中で
  第三波・第四波フェミニズム
  右翼ポピュリズムの台頭

第9章 フェミニズムは近代社会で何をしてきたのか
  「近代社会」からフェミニズムを見る
 1 フェミニズムの歴史を振り返る
  「女性は人間である」けれども「女性は人間ではない」
  「公的領域」をめざした第一波
 2 固定的な性役割分担とジェンダー
  社会の前提となった固定的なジェンダー
  「私的領域」を問う第二波へ
 3 理性以外の特質は「人間的特質」ではないのか
  女性は理性がない?
  フェミニズムは遅れてきた近代主義?
  「理性」ではない「女性の価値」?
  「人間である」か「女性である」か
 4 家族、性と生殖、セクシュアリティ
  男性は免除された家庭内役割
  公
  私の思想史
  支配―被支配的関係が維持されるべき場?
  正義を定義しなおす
  フェミニズムが「公的領域」に組み込んだ問題
 5 現代社会におけるフェミニズム
  政治問題化する家族・性・生殖
  問題が解決しないまま
 6 これからのフェミニズム
  問題を放置してきた公私二元論
  使い方を見直す
  これまでとは別の、複雑な解決方法
  分断ではなく、新しい連帯へ

 参考文献
 あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

トーテムポールさん

2
フランス革命によって誕生した”万人”が平等の市民社会。しかしその”万人”に女性は含まれておらず……からスタートし、近現代で登場してきた第一、二波のフェミニズムって、一体何を論点としていたのか?を解説するのがメイン。18世紀~二次大戦後まで結構なスピードで振り返っているが丁寧で「公私二元論」という難しげな概念もすっと頭に入って来た。ただ、直近の混沌としているフェミニズムについての記載はおまけ程度で、今のフェミニズムって結局なんかモヤモヤするなぁ、という感想は変わらず。前提知識を得るための入門としては良い。2026/02/24

O次郎

1
「公私二元論」というキーワードを基にフェミニズムの歴史と思想の変遷を俯瞰できる一冊。「なぜ近代自由主義が女性を排除したのか」や「政治制度上の男女同権の実現から半世紀以上経つのになぜ男女平等が実現しないのか」といった疑問に対する解説は分かりやすく、腑に落ちるものだった。ただ、フェミニズムの基本的な流れのおさらいという感じで現代フェミニズムである第三次・第四次フェミニズムに関する解説は限定的だった。その点についても学んでみたいと感じた2026/02/27

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