ちくま新書<br> ことばを学ぶとはどういうことか ――外国語学習の本質

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ちくま新書
ことばを学ぶとはどういうことか ――外国語学習の本質

  • 著者名:松田真希子【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 筑摩書房(2026/03発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480077349

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内容説明

外国語の学習は、多くの人に「良いこと」と信じられているが、正しい発音や流暢さ至上主義、ネイティブ志向、努力神話……等、学習者に劣等感や罪悪感を生む「呪い」も孕んでいる。本書はそうした言語学習の副作用を指摘し、言語やことばをインストールできるシステムではなく、社会的な活動のための人間らしい営みとして捉えなおす。ことばは硬直したものではなく、流動的で柔らかく、世界の見え方を歪めも解放もする存在である。学習者が自由に、そして幸せに学び、より豊かな世界をつくるための方法論を探る。

目次

はじめに──本当はこわい言語学習/言語学習の副作用/この本での「言語」と「ことば」/序章 「ことばを学ぶ」を考える前に/言語は世界をありのままに写すものではない/習熟するほど見えなくなってしまう世界がある/言語に習熟すると疑えなくなる世界がある/言語学習は私たちに呪いをかけ神話をつくる/システムと奴隷/迷惑の呪い/言語学習の呪いとは/この本のポイントと前提/第I部 言語学習の呪い/第1章 ことばは「もの」という呪い/言語学習は、ことばを「もの」化する/言語教育の商品化/銀行型教育とは?/ドネルケバブと納豆/言語は個人の「もの」なのか?/ことばの「もの」化はアイデンティティの「もの」化/構造主義言語学の限界/ことばと言語教育の工場化・工業化/スケーラビリティから自由になる/第2章 「理想の話者」の呪い/「理想の話者」はどこにいるのか?/「理想」が実現しない!/クラス内言語学習と言語不安/人はなぜ言語学習をするのか/「理想」のグラデーション/「個人の努力次第」ではない/理想の話者の呪いから醒めるために/第3章 レベルの呪い/ヒエラルキーの最上位はネイティブスピーカー/優劣性の呪い/サバルタン(沈黙者)の呪い/構造の呪い/「○○コース」という呪い/「努力」という呪い/上級は学習の成功者、初級は学習の失敗者なのか/いつから「そのことばが話せる」と言ってもいいのか/第4章 ネイティブの呪い/ネイティブとノンネイティブ/「○○語がお上手ですね!」/ノンネイティブとは誰のことなのか/「ネイティブのように話さなければならない」という呪い/ネイティブはモデルじゃない/第5章 正しさの呪い/言語の「正しさ」は誰が何によって決めるのか/「訂正」が呪いをつくる/赤ペンは呪い棒?/「○○語警察」/世界は「正しくない」言語で満ちている/教科書はもっと疑われなければならない/正しさの呪いを解くために/第6章 言語学習の呪いから自由になるために/コンタクトゾーンを意識する/責任ある言語学習/「言語学習をしない自由」の保障を/ことばを疑うことは社会を疑うこと/疑いつつ信じる/第II部 ことばを学ぶという希望/第7章 ことばは「つながり」を育む/ことばを学ぶには人とつながらなければならない/ことばの実践コミュニティの正式な参加者になる/興味関心でつながる/動的・多様・多元的な言語学習観/トランスランゲージング教育学/第8章 日常のことばの活動を豊かにすること/日常にあることばの活動/日常のことばとは/日常を無駄で満たす/日常的実践の中で批判性と戦術を磨く/日常のことば戦術と戦士たち/守りたい日常のことばを問いなおす/第9章 ことばの汽水域を育む/ことばの汽水域とは/ブリコラージュ、モンタージュ、コラージュ/食とことばの汽水域/きれいな水と濁った水/自然と人間の汽水域の声をきく/「わたし語」という汽水域/第10章 創造的なことばの活動ができるようになること/クリエイティブラーニング/蟻鱒鳶ル──誤変換を楽しむ/ボケとツッコミの効能/マツタケとマイタケ──外国語で漫才を/第11章 ことばの冒険者・旅人になる/旅人はハプニングを起こす/パッケージツアーから自由旅行へ/複言語教育実践による言語意識活動/旅の土産話に学ぶ/旅人としての教師・住人としての学習者/第12章 ことばを学ぶとは、社会を変えること/鎖に気づき、鎖を壊す/ことばが変われば、社会も変わる/自分のことばを脱植民地化すること/藤井風氏の音楽活動にみる脱植民地化/終章 ことばを学ぶとはどういうことか/ことばとは社会そのもので、私たちのこと/ゲーム・修行・瞑想としての言語学習もあっていい/いろいろな「呪い」、いろいろな「ことばを学ぶ意味」がある/「できない」ができるという希望/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

tamami

60
所々スルーしてしまったが、著者が言わんとしている事柄はほぼ了解できたように思う。前半では、外国語学習の過程で我々が陥りやすい、「ことばは『もの』という考え方」、「ネイティブが言語ヒエラルキーの最上位と捉える見方」、「正しいことばというものがあり、それが正しく伝えられなければならない」等々の言語学習に関わる思い込みを「呪い」として指摘し、後半はそこから抜け出すための方法・考え方を記す。第12章では、「ことばを学ぶとは、社会を変えること」と題し、私たちを知らず知らずに縛りつけていることばに気づき、そこから解放2026/04/12

1.3manen

46
EP新刊棚より。英語教師ならば、避けては通れない問いの本。終章で、6番目の答え。ことばは交換可能なものだ(231頁)。11番目の答えは、つながりを育むこと。16番目の答えで、自分と社会を脱植民地化すること(232-3頁)。そして、生成AIはことばの活動の世界から現場性や体験性を奪っていくという(235頁)。このリスクを孕んだ人間のコミュニケーションのあり方を再考するにはよい本だ。2026/05/10

あやたふ

2
現代社会における特に英語学習の大衆観念を「呪い」と定義し、ことばとは機能的な側面よりも、文化やつながり、アイデンティティに基づくもので、自由で生活を豊かにするものであると著者は言っている。 私自身言語を学ぶことが好きだが、「英語が読めても話せなければ無意味」「その表現は伝わらないから使ってはダメ」というような圧力に息苦しさを感じている部分があり、できないことや間違うことこそ人間的で創造的な活動であるという著者の主張には共感した。2026/06/07

wqwq

2
言語をものとしてとらえない。言語学習は社会的なつながりを促すものであるし、自分の呪い見つけるきっかけとなるものである。海外でチャレンジしたいとう時、その場所がアメリカであるのは、小さい頃からハリウッドの映画とかアメリカがかっこいいと思ってきたこととかが大きいんだろうなと思う。そこに使われている言語が英語だから、さらに呪いはかかりやすくなるんだろう。2026/06/04

Sin'iti Yamaguti

2
社会言語学的および教育心理学の視点からの言語論。ここでは「外国語」に限ることなく、私たちが言語使用にあたってもっと柔軟な発想であたることを提唱している。 「言語の学習は『つまみ食い』でいい。ほどほどの距離感を持って...」要は、外国語をマスターしてやろうと大きな野望を抱く必要はないということ。 「汚い濁った水は安全です」有機的で豊かな生活をおくるということは、言語の使い方にも示唆を与える。 「言語的文化的多様性は一層乏しくなるばかりです」英語帝国主義の影響をもっと真剣に考える必要があるだろう。2026/06/01

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