内容説明
言葉は喉の奥でつっかえ、想いは胸の底で燻る。東京の片隅で、影のように生きる青年・五十嵐遼馬。その人生を変えたのは、ボクシングだった。寡黙な青年は拳を交わし、生きた会話の喜びに目覚めていく。やがて立ちはだかるのは、悪霊に憑かれた異国のチャンプ――これぞ王道の灼熱、青春小説の名手がブッ放す魂の拳闘小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
146
岩井 圭也は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、異色のボクシング成長譚、続編もありそうなエンディングでした。ボクシングが対話だとは思いませんでした🥊🥊🥊 https://www.shinchosha.co.jp/book/354132/2026/05/02
hiace9000
113
驚異のジャンル越境作家・岩井さん。今作はリングを舞台に「拳」を語るスポーツ人間ドラマ。五十嵐遼馬は場面緘黙症で幼い頃から人と会話ができない孤独な青年。仕事帰りに見た須郷ボクシングジムの熱気に惹き寄せられ、そのまま入会することに。トレーナー・高矢の「話せなくてもボクシングはできる」の言葉を支えに、孤独を埋めるようにジムに通う遼馬。リングでの駆け引きを通して彼の中で何かが変わり始める―。自らの思いを拳で主張する喜びに目覚めていくボクサーの性と業を、眩暈を起こすような歓声と暴力の熱狂が渦巻く灼熱の筆致で描く。2026/04/22
ナミのママ
84
人前でうまくしゃべることができず孤独、透明人間のように生きてきた遼馬の人生はボクシングで変わった。毎回楽しみな岩井圭也さんの新刊、今回はボクシングがテーマ。上京して、派遣で生活を支えていた遼馬は、ふと足を止めて覗いたボクシングジムに惹かれていく。会話はできず経験もない、それでも連日通う遼馬の日々が少しずつ変わっていく。決して花々しく上り詰めていくわけではないが、1試合ごとに生きる実感が感じられてくる。試合のシーンでは怪我の痛みと恐怖心とが伝わり、思わず目を閉じてしまった。心が温かくなるラストも良かった。 2026/03/28
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
69
【2026-58/図書館本-44】 様々なタイプの小説を書く多才な著者の今度のテーマはボクシング。他人と会話ができずに疎外感を抱える主人公が、自分の居場所を求めてリングに立つ姿を描いてる。「いじめられっ子が才能を開花させる」という設定は古くからある王道の展開で新鮮味には欠けるが、その分安定した面白さがあった。単なる「強さへの憧れ」ではなく、自分の存在を証明できる唯一の場所としてボクシング続ける主人公の心情には、深く共感できた。王道ゆえの熱量を楽しめる一冊でした。★★★2026/04/27
シャコタンブルー
48
昨夜の井上vs中谷は凄かった。二人の侍の真剣勝負は「命を削る」戦いのようだった。遼馬の一日は昼は派遣、夜はボクシング。それは服従と自由、ロボットと人間の対比でもある。ボクシングだけが彼に生きている実感を与える。実戦は相手への恐怖と己の弱さとの闘いでもある。それでも戦い続ける「ぼくはここにいる、と証明したいんです」ボクサーとは何処までも孤独でストイックだ。肉体と精神を極限まで研ぎ澄まし獲物を狙う。それは狂気でもあり、歓喜の瞬間でもある。久しぶりにリアリティ溢れるボクシング小説を読んだ気がする。2026/05/03




