内容説明
直木賞受賞作『木挽町のあだ討ち』が実写映画化!
「自由」に生きることの真実を描く歴史長編。
弥兵衛が弟子入りをして間もなく、師の海保青陵は亡くなった。当代きっての儒学者で、経済にも精通し、江戸の世に「自由ナル」生き方を説いた青陵。京弓師の跡取りでありながら職人としては未熟で、算盤勘定や商いにばかり惹かれる16歳の弥兵衛に、その「商い」こそが世を変えると教え、「自由自在」に生きる道を示してくれた先生だった。最後の弟子となった弥兵衛は「遺灰は空に撒け」という師の遺言を胸に、兄弟子と連れ立って青陵ゆかりの人々を訪ね歩く。江戸の実弟、変わり者の絵師、川越の商人、秩父の家老、金沢の隠居、そして京――。青陵に人生を変えられた者たちが語り出す、亡き師の思いがけない過去、人知れぬ後悔とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
158
文化14年(1817年)、儒学者海保青陵が亡くなる。弟子入り間もない16歳の弥兵衛と兄弟子が師ゆかりの人たちを訪ね京を旅立つ。江戸尾張藩家臣の実弟、絵師司馬江漢、秩父忍藩の家老、金沢の隠居らが語る、青陵の生きざま。理と縁を大事にし、自由自在に生きようとした姿に感銘を覚えます。直木賞受賞作「木挽町のあだ討ち」に続き、証言を聞いていくうちに見えてくる真相も心に残ります。2026/03/21
パトラッシュ
151
歴史物の主役として海保青陵とは地味なチョイスだが、著者が描きたかったのは硬直した社会における有能な自由人の生き様か。青陵没後に関係者へ訃報を届けて回る弟子たちが、変人と思えるほど自由自在に生きたはずの師が様々な苦難を経験していたのを知る。身分をわきまえ上に忖度し面目最優先の窮屈な武家社会から脱した青陵は、己の学識だけを武器に各地を巡り経世済民に尽くすが、却って時代にぶつかってしまう。それでも希望を失わず青青とした柏の如く生きた彼に、誰もがそう生きたいと憧れる。今の日本でも同様に感じる人がいるのではないか。2026/03/05
いつでも母さん
135
江戸時代の儒学者・海保青陵が亡くなった。「遺灰は空に撒け」遺言をめぐり最後の弟子・弥兵衛16歳が兄弟子と共にゆかりの人を訪ね歩く物語。とても爽やかに物語は進む。「自由自在」を謳う師の来し方を弥兵衛なりに迷いつつ、これからを考えるのが心地良い。もしや?と思った弥兵衛の出自も父・惣兵衛の大きな大きな愛に私まで包まれる感じだった。「自由自在」常識に縛られてなかなか難しいのはいつの時代も同じだが、永井さんが今回も楽しく読ませてくれた。兄弟子・暁鐘成がナイスキャラだったなぁ。2026/03/10
たま
85
江戸末期の学者海保青陵が、遺灰は「天に撒き散らしてくれ」と言い残して亡くなる。実は私も同じ経験をしたことがあり(20年以上前で現在のように〈直葬〉や〈散骨〉サービスを提供する業者はなく、お墓にお納めした)私的な思い入れも持って読んだ。年若の弟子二人が各地の門人に青陵の死と遺言を伝える旅に出る。この二人の道中、出会う人々との会話から、青陵の(今の時代なら診断名つけられるかも)規格破りだが私欲の無い人となりが伝わってくる。人物もみな清々しく爽やかな小説。文人ネットワークが『きらん風月』ふうでとても好みだった。2026/03/23
pohcho
60
海保青陵さんという方のことを初めて知る。論理的で、自由を愛する人だったんだなあと。忖度ばかりで硬直しきった武士の世に、彼のような人はさぞ生きづらかったろうが、最後まで自分の生き方をまっとうした人生だった。生まれるのが少し早かったかなと思うけど、彼の生き方は後の世の人々に大きな影響を与えたのだ。青青と生く。青臭くもまっすぐに。青空を仰ぎ自由に。自分もそうありたいものだと思う。とても清々しくよき小説。2026/03/24
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