内容説明
昼に起き、サウナで身を清め、新作の執筆にいそしむ。行きつけの酒場で酒を呑み、担当編集者と打ち合わせ、焼酎でひとり晩酌をする。テレビの仕事が徐々に減り、執筆に専念するなか、胸を去来する孤独と不安。平成から令和へ、そしてコロナ禍へと突入し、宴や球場観戦もかなわず、たまるストレスを師・藤澤清造のさらなる追慕作業で晴らす……。最後の無頼派作家が、死の直前まで綴ったライフワークの日記文学、ついに合本で完結!
2016年6月~2022年1月分収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mim42
11
西村賢太絶筆の文章。最後の方は「ああもうすぐ死んでしまうのに」と思いながら読んでいた。五十男の満身創痍、コロナ禍の伏字宴、縮小する交友やTV出演、増える清造資料調査頻度、禁煙妄想、ちんけな旅…寂寥感が積み重なる。結果的に「師」のような無頼的な人生を送り、「師」の墓の真横に拵えた自らの生前墓に入ったのならば目出度しと言いたい(ところだが田中慎弥氏はリハックで西村のキャラ自演説を仄めかしている)。個人的には西村の生活に激しく類似する部分があるので(買淫ではなく飲食生活の方)、今後の私の生活改善のための読書。2026/03/08
みじんこ
8
「芝公園六角堂跡」への思い入れを感じたり、絶筆「雨滴は続く」の連載が始まっていたり。解説で阿部氏が触れていたが、各編集者の人々もそれぞれキャラの立った登場人物に思えてくる。清造資料整理の時間も多く、師に関連する全ての行動に一番の喜びを感じているように思う。「いつも通り」のものを書き続ける自負と誇りについてのくだりは印象に残り、ここがブレないのは魅力でもある。北町貫多名のサイン本、今は誰が手にしているのだろう。体の不調はたびたび記されるものの、亡くなったのはあまりにも突然。現在もこのまま続いていそうな日記。2026/03/06
そうげん(sougen)
5
書店に行くと西村賢太さんの新刊本が置いてある。しかも以前図書館で借りたことのあった『日乗』シリーズだった。最終巻から読むことになりました。やはり故人となられたこともあり、日記に載っているいびつな食生活の方が気になってしまいました。健康に気を付けて、ご自愛なされていればいまも執筆を継続されていたのかなと思うと、「日乗」の読み手としてはもやもやするところがありますね。「最後の無頼派」という二つ名(?)も、名前負けしていないところがある。あくまで自由なところは犠牲にせず、奔放に生きてこられたんだなと感じられた。2026/02/10
相馬
3
山田ルイ53世との対談の中で、 「年をとることで可能性が無くなっていく分、いまできることを丁寧にやりたいですね。」みたいな話が出たらしい。 西村賢太は小説以外に興味が無いと自覚することで、無駄なものを捨て去って真剣になれると語ったようだ。 (別のところで対談の話は鵜呑みにするなと書いているのであくまで参考として) それにしても、西村賢太の行動範囲は基本、東京の東側と七尾・金沢ぐらいだ。亡くなる直前に野毛や小田原に行っているのが稀なくらい。好みがはっきりしていると、行動も一貫するのだろうか。2026/03/01
yoyogi kazuo
3
単行本化されていなかった「這進の章」も含んでの合本文庫化。これにて「日乗」シリーズはすべて文庫で読めるようになり、ありがたい。2026/01/28




