内容説明
1963年、南米パラグアイ。フランスの若き人類学者クラストルは、深い森で遊動生活を送ってきた先住民族グアヤキ(自称アチェ)の調査に赴いた。彼らは白人に圧迫され衰退の道をたどっていたが、出産、通過儀礼、復讐の殺人、食人習慣など、様々な文化を保持していた。クラストルは不合理な事象の数々に時に戸惑いつつも、それらを精緻に観察し、背後にあるグアヤキの論理を鋭い視点で解明していく。暴力ではなく言葉によって自らの権威を証明しなければならない首長など、この調査で得た着想の一部は、後に『国家に抗する社会』として結実する。文学性にも優れた民族誌の傑作。解説 松村圭一郎
目次
第一章 誕生/第二章 二つの平和条約について/第三章 逆方向に/第四章 大人/第五章 女性たち、蜂蜜、戦争/第六章 殺害/第七章 同性愛者の生と死/第八章 食人種/第九章 終末/議論と批評/訳者あとがき/解説 失われた世界から「人間」を問う(松村圭一郎)/テーマ索引/名前と場所の索引/挿絵一覧表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
34
ヤノマミ族の本を一時読んでいたので、新刊コーナーで(おお、1960年代に南米の先住民と数年間共に過ごしたフランス人人類学者がいたとは!)と驚いてこの本を手にしました。生死、特に女性の過酷な状況にゾッとしましたー研究者が女性だったら、視点が少し違う気がします。あと、ハチミツがセイヨウミツバチとハリナシバチどちらのものなのかなあ…なんて考えたり。ミツバチは外来種ですからねえ…。昆虫学者がいたら、また違った文章だろうな…なんて、そんなことばかり思いながら読みました。2025/11/30
佐倉
17
ピエール・クラストルによる南米に住むグアヤキ(アチェ)の民族誌。保護政策を悪用しようとする白人によって隔離されたアチェたちに潜り込んで生活していく中で見た様々な物事…パネ(日本語にするなら穢れや不運?)、狩りに纏わる風習、食生活や人間関係などを書き連ねる。権力と暴力を分離し強制を抑制する首長のシステムについての言及、現代日本から見ると理不尽にも見える”復讐“(ある人物の死に対してその親族の娘を殺害するなどの行為で釣り合いを取ろうとするアチェの観念)などが印象に残る。次は『国家に抗する社会』を読みたい。2026/02/13
iqo720
4
1960年代という、つい昨日のような時代に、これほど我らの常識をはね返す社会があった事実に、まずは肝をつぶした。そこは生と死が隣り合わせの世界であり、読み進めるうちに「人間の本能とは、果たして何だろうか」と、根源的な問いを突きつけられるのである。 特に後半は、怒とうの勢いだ。復讐殺人のおきてや、食人の具体的な描写には、ただ圧倒されるほかない。惜しいのは文章の硬さである。客観を期した翻訳のせいか、一字一句を味わうのに少々骨が折れる。中身が濃密なだけに、もう少しばかり、読者を導く優しさがあっても良かった。2026/02/18
11tm26
1
読み終わる頃には感情移入して寂しくなってる。作者の感情にシンクロする。2026/01/05




