内容説明
冷戦終結で平和が訪れるはずだったのに、なぜ再び戦争の時代となってしまったのか。国際政治学の古典『危機の二十年』を下敷きに、ユートピア主義とリアリズムの相克という視座から、ソ連の解体、アメリカの傲り、NATOの東方拡大、そしてロシアによるウクライナ侵攻へ至る三十年を検証する。戦争回避のための必読書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
134
異なる正義がぶつかる戦争で勝敗が決すると、プライドを傷つけられた敗戦国は自らの正義を証明しようと復讐を誓う。戦勝国は自分たちの理想に基づく新秩序を樹立し、敗者も当分は従うしかないが、どんな組織や条約も数十年もたてば時代に合わず老朽化してガタが来てしまう。その頃には立ち直った旧敗戦国は、今度は自分が勝ってやるぞと再戦を仕掛ける。第一次大戦で敗れたドイツは20年後に第二次大戦を起こし、冷戦に敗れ崩壊したソ連を継承するロシアは30年後にウクライナへ侵攻した。「新しい戦前」とは何度も繰り返して発生する現象なのだ。2026/08/19
おせきはん
30
冷戦後、現代に至るまでの欧米の政治家、研究者らの言動から、ロシアによるウクライナ侵攻に至る経緯が紐解かれていきます。ロシアにとってのウクライナの安全保障上の重要性を理解したうえで、ロシアに大国として接していれば、今になってみると、もう少し違った展開になったかもしれないと思うところはありました。理想と現実の間でどのようにバランスをとっていくとよいのか、考え直すよい機会になりました。2026/06/21
かんがく
13
タイトル元ネタとなるカーの著作が扱う両世界大戦間期になぞらえて、冷戦終了からウクライナ侵攻にいたる30年間の国際政治動向を扱う。22年のウクライナは急な出来事ではなく、90年代から続くNATOとロシアの問題の結果であることがわかった。2026/06/21
あるべき姿(私)
7
ウクライナ戦争に至るまでの30年間の歴史をユートピアニズムとリアリズムの対立の中に描き出す。NATOの拡大におけるロシアの地政学観への配慮のなさと、プーチンに対する融和的政策の失敗。フレームワークは分かりやすかった。2026/05/07
お抹茶
6
日ロ関係を中心に冷戦後の国際関係を冷静に丁寧に辿る。「危機の三十年」はアメリカのポスト・プライマシー時代への移行期で,伝統的な孤立主義に戻ったとも言える。ユートピアニズムが浸透するのが前半の十五年で,後半はパワー・ポリティクスやナショナリズムを基礎とするリアリズムが復権。ヨーロッパの秩序がロシアにとっては勢力圏が侵食されているという脅威認識になった。NATOの拡大,イラク戦争では,アメリカによるレジーム・チェンジがロシアにおける西側諸国への疑念や不満を鬱積させた。ユートピア主義とリアリズムの均衡が必要。2026/04/22




