内容説明
平家一門の栄光と破滅を描いた一大叙事詩である『平家物語』。その影響を強く受け、後醍醐天皇の倒幕運動や南北朝内乱を叙述した『太平記』。日本史を語る上で外すことのできない二代軍記物を比較・考察した、歴史と文学の関係を見つめ直すきっかけとなる一冊。
【目次】
第一章 『平家物語』とは何か
第一節 『平家物語』の成立
第二節 『平家物語』の構想
第三節 延慶本『平家物語』をめぐる諸問題
第二章 『太平記』とは何か
第一節 『太平記』の成立
第二節 『太平記』の構想
第三章 史料としての『平家物語』
第一節 源頼朝の挙兵
第二節 頼朝挙兵後の展開
第三節 源義経の伝説
第四章 『平家物語』の合戦描写を読み解く
第一節 一騎打ちはあったか
第二節 馳組戦から組み打ちへ
第三節 戦闘様式はなぜ変化したのか
第五章 史料としての『太平記』
第一節 鹿ヶ谷の陰謀の虚実
第二節 正中の変の虚実
第三節 以仁王と護良親王
第六章 『太平記』の合戦描写を読み解く
第一節 攻城戦の実態
第二節 「後詰」作戦
第三節 「野伏」の実像
終 章 『太平記』研究の可能性と課題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
24
日本史上最も有名な二大軍記物『平家物語』と『太平記』を徹底的に比較・検証して、歴史と文学の関係を見つめ直す1冊。『平家物語』の成立過程や構想、延慶本などの諸問題から始め、『太平記』が前作の影響を強く受けつつ、後醍醐天皇の倒幕や南北朝の乱をどう描いたかを分析していて、源頼朝の挙兵、義経伝説、一騎打ちの実在、鹿ヶ谷の陰謀、以仁王・護良親王のエピソードなどを通説と比較を行う一方で、2つの物語を比較することで王権への反逆がどのように変容していったのか、合戦描写の変遷や「後詰」作戦の実態もなかなか興味深かったです。2026/02/06
MUNEKAZ
21
著者曰く本書は「中間報告のような不完全なもの」らしいが、平家物語と太平記に関する研究史をまとめてある新書もなかなかないと思うので、意外と拾い物な気もする一冊。先行研究を手際よく裁く著者の筆致は手慣れたもので、呉座先生本としては久しぶりにヒットかなと。後半の太平記を歴史学に活かすパートにて、「ゲリラ戦」というマジックワードで楠木正成や野伏を安易にまとめがちな風潮に対してチクリとやっているのは、然り然りと思ってしまった。2026/02/16
フク
10
#読了 戦記文学の源流である『平家物語』と『太平記』から 歴史と文学の関係を見直す。 頼朝・義経の確執の原因として、屋島で頼朝の企図に反して性急に決戦に及んだ結果、天皇と宝剣も失われたことによるとしている。 なお検非違使任官は頼朝も認めていたとしている。 〈物語が歴史を動かす〉 図書館2026/03/10
山家
6
「平家物語」と「太平記」の成立過程等を検討し、又、比較等を行い、更に文学的観点と歴史学的観点から合わせみる新書でした(尚、通説の虚像を暴くは、少し違う気がします)。確かに、平家物語と太平記ですが、物語的な面が多く、歴史学の二次資料になるか、と言われると私も疑問がありますが、全く参考にしないのもどうなのかな、とこの新書を読み、呉座氏の主張から考えてしまいました。勿論、他の一次資料での裏付けナシで、平家物語や太平記の描写を鵜呑みにしてはいけませんが、そんなことを考えました。更なる研究成果を、私は待ちたいです2026/03/28
スコットレック
3
馬の腹を矢で射るという戦術があったとは知らなんだ・・。(馬乗っている人間が着ている鎧が強固なため) この二つの物語、戦国時代や幕末に比べると自分は馴染みが薄いので、内容が入ってきにくいのがある。 最後のページの著者の方の問題提起が心に残った。社会との接点を失った歴史学は無力。2026/02/01




