内容説明
すべてをひとつに統合しようとする国家から、未開社会はいかにして逃れてきたのか。暴力から社会の起源に迫る名著。解説=松村圭一郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
14
クラストルの「未開社会」観についてそういう時代だったのかなあと思いつつ読み進めた。戦争と狩猟とをそれぞれ違う次元のいとなみとしてはっきり区別し、戦争を狩猟の延長として見る見方を批判しているのは、戦争と狩猟(そして巡察)を一体のものとして見てきた民国以来の中国古代史や古文字学での議論の見直しを図るべきということになるのだろうか。 2026/01/15
遊動する旧石器人
2
2026年1月6日初版第1刷。未開社会における戦争の意味を考察した人類学書。本書の中で、戦争は商取引の失敗の結果ではなく、戦争に対する同盟の中で交換が必要となることが述べられる。そのことを念頭に置き、近代社会が未だ戦争を構造に含んだ未開社会で、積極的に敵を作り上げていく現代社会の事を鑑みると、人々同士における交換の儀がかなり軽薄になっている現実に気付く。つまり、同盟の際に必要な儀をかなり欠いてしまっており、敵認識の一致でしか仲間意識を共有できずにいる。なので、礼儀作法という理性的なコトも戦争に抗する証だ。2026/02/05
biwacovic
0
未開社会における戦争を、3つの論(動物的本能説、資源争奪戦説、贈与交換の失敗説)を否定するところから検討し、国家(人を支配し服従させる統合化)の発生を避けるための永続的な行為(分散手段としての暴力)だとする。「永続的な戦争」というとオーウェルの1984を思い出すが、その目的は「国家」の存続のためなので、ちょうどこの論考と裏表の関係になっている。まさに1984の世界がそのまま出現しつつある今、この「戦争」の起源に立ち戻って考えを巡らしてみると、現在の国家在り方の否定しか人類の未来は無いのでは?と思ったり。2026/02/09
Tamler
0
戦争と交換を区別し、未開社会では後者が機能不全を起こすから戦争になるという議論を批判。むしろ戦争のほうが交換に先立つとする。あとホッブスの理解の仕方には思わず膝を打った。2026/02/03




