内容説明
すべてをひとつに統合しようとする国家から、未開社会はいかにして逃れてきたのか。暴力から社会の起源に迫る名著。解説=松村圭一郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
22
非常に短いレポートと、同じぐらいの量の解説。 先に読んだ『マラルメ詩集』岩波文庫と同じような本の作りですが、こっちははるかに薄く煮えたぎっている。 クラストルは、この後に繋がる形で、もっと長い論考を考えていたらしい。 民俗学者の最後から二番目くらいのメッセージ。 未開社会では、国家秩序が発生しないように、戦争状態が発生する。 それは、国家に抗する戦士の社会であり、帝国の戦争機械とは別物の、組織化されない戦争機械。 平田弘史か、永井豪に漫画にして欲しい側面もある。 短いし、非常に刺激的なのでおすすめ。2026/04/06
ポテンヒット
14
未開社会は国家を拒否する社会という観点に興味を持った。未開社会にとって戦争は永続的なものであるが、それによって共同体は対外的には独立と自律を保持し、共同体内では命令-服従の関係を生じさせずに平和と平等を維持する。首長の役割も権力のもとで暴力を行使するのではなく、言葉で関係を調整する外務大臣のような役割。好戦的な戦士は頭皮(戦争による勝利品)を得た事による承認で意識を外部へ向け、共同体内での権力掌握に意識を向けさせない。「未開社会は、暴力こそが権力の本質であることを必然的に熟知している。」2026/03/03
さとうしん
14
クラストルの「未開社会」観についてそういう時代だったのかなあと思いつつ読み進めた。戦争と狩猟とをそれぞれ違う次元のいとなみとしてはっきり区別し、戦争を狩猟の延長として見る見方を批判しているのは、戦争と狩猟(そして巡察)を一体のものとして見てきた民国以来の中国古代史や古文字学での議論の見直しを図るべきということになるのだろうか。 2026/01/15
ダージリン
2
戦争の持つ意味の考察が語られる。未開社会は本質的なあり方において分散を望み、自律性を保つために戦争は不可避的に存在する。戦争のために同盟が手段として望まれ、同盟者とは婚姻関係を含めた交換関係が生じてくる。国家の出現は未開社会の死を意味するものであり、未開社会は服従を拒否し、国家を拒否する。未開社会における戦士集団は軍隊ではなく、命令ー服従の関係とは異なる。短いながら濃密で刺激的な論考であった。2026/05/08
遊動する旧石器人
2
2026年1月6日初版第1刷。未開社会における戦争の意味を考察した人類学書。本書の中で、戦争は商取引の失敗の結果ではなく、戦争に対する同盟の中で交換が必要となることが述べられる。そのことを念頭に置き、近代社会が未だ戦争を構造に含んだ未開社会で、積極的に敵を作り上げていく現代社会の事を鑑みると、人々同士における交換の儀がかなり軽薄になっている現実に気付く。つまり、同盟の際に必要な儀をかなり欠いてしまっており、敵認識の一致でしか仲間意識を共有できずにいる。なので、礼儀作法という理性的なコトも戦争に抗する証だ。2026/02/05




