内容説明
「猿がいる」と言い出した同居人。
かすかに感じる、妙な気配。
曾祖母の遺産相続。
胸に湧き上がる不安。
岡山県山中の限界集落。
よく判らない違和感――。
ただの錯覚だ。そんなことは起こるはずがない。だが――。
怖さ、恐ろしさの本質を抉りだす、瞠目の長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
198
京極 夏彦は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 怖いのか怖くないのか良く解らないまま、章立てもなく、一気に読まされました。正に、モンキー・マジックでした🐵🐒🐵 https://www.kadokawa.co.jp/topics/15349/2026/01/09
パトラッシュ
159
やむを得ぬ事情で無名の寒村へ向かった人びとが、奇妙な因襲に囚われた村人に対する設定はカフカ『城』を思わせる。日常から切断された世界に迷い込んだ恐怖を描くのは京極作品の常套だが、スマホも使えない岡山の山中とは否応なく『八つ墓村』に相似する。そこまでは作者も計算したのだろうが、加えて野猿の出没が登場人物の心を逆なでする場面は『遠野物語』の「山野山人の伝説を語りて平地人を戦慄させよ」という語りそのものだ。誰も予想しなかったラストに至っては、凄惨な歴史を紡いできた日本の田舎の原風景が逆に侵蝕し始めたかと慄かせる。2026/01/18
優希
64
最初と最後が繋がる感じにゾッとしました。ずっと居心地が悪く、得体の知れない恐怖がじわじわと続いていて、苦しかったです。決定的なことが何も起こらず、淡々と紡がれる物語自体が恐怖でした。この物語は「恐怖」が主体なのでしょうね。不安を掻き立てる空気が終始まとわりついているような感覚でした。最後の1文に鳥肌が立ちます。2026/01/05
ごみごみ
58
とにかく不気味。ホラーでもないし特殊な因習もないしカルト教団でも洗脳でもない。殺人事件も起きないし心霊現象も超常現象も起きない。弁護士とパラリーガルが胡散臭いけど、話してる内容は理路整然としている。なのに妙に気味が悪いのだ。ラストも唐突。いったいどういうこと?夢か幻か。あの猿はいったい・・?分からないのがとにかく不気味で厭な話。2026/01/14
Sam
54
「弔堂」以来の著者。シリーズものが多かったので単発の作品は久しぶり。予備知識なしで読む。何かを予感させるようにして「猿」が登場する。作品の大半が会話体であるが会話表現の巧みさは相変わらず。怖がるから怖いのだというある意味陳腐なテーマを描こうと思ったわけでもなかろうと思いつつ読み進める。そして終盤人里離れた不条理めいた村落のあり方は確かに怖いような気もする。正気と狂気、人と自然の境界線を象徴する生き物としての「猿」ということだろうか。読み終えてみて、やっぱり著者にしか描けない世界であったなと改めて思った。2026/02/03




