内容説明
維新がなければ、世に出られなかった熊本の陪々臣の三男、井上毅は肺を病むほどに学び、大久保利通と伊藤博文らに見出され、立憲政体の詔勅、大日本帝国憲法と教育勅語の起草など近代国家の礎を言葉にしていく。大隈重信、岩倉具視、星亨、牧野伸顕などの英傑もクセが強く、黎明期の明治は熱く面白いと見直す記念碑的傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
168
川越 宗一は、新作中心に読んでいる作家です。本書で、大日本帝国憲法の草案作成者、井上 毅(こわし)の存在を初めて知りました。明治の熱い物語、憲法の重要性を考えさせる一作、現代の政治家には、改憲に関し、十分熟考していただきたい。 https://www.shinchosha.co.jp/book/356511/2026/03/27
パトラッシュ
147
革命に勝利し強大な権力を握ろうとも、行政実務を担当する官僚がいなければ国家は統治できない。秀吉政権の石田三成、毛沢東における周恩来などが有名だが、明治日本を支える法制官僚として活躍した井上毅もその一人といえる。大久保、岩倉、伊藤ら元勲たちに人間として信頼され、次々と重要な仕事を任され奮闘する姿は、近代国家を普請する大工の棟梁さながらだ。起草した旧憲法と教育勅語が大日本帝国崩壊の遠因と見なされたため評価は低いが、民主主義国日本のため耐久期限を予感しつつ「絢爛の法」を作ろうと必死で働く有様は誇りに満ちている。2026/02/26
たま
98
維新前後の時代小説を読めば読むほど、よくもまあ維新からたった20年で憲法発布したものだと以前から感心していたので、興味津々で読んだ。高校日本史教科書では伊藤博文が欧州に派遣され、1~2年勉強して憲法を書いたように書かれているが、法律を作ることがそんなに簡単なはずはない。川越さんは井上毅に焦点を当て、身分の低さ貧しさ病苦に耐えつつ漢学と英仏独の法律を修め国学も学び、政変とテロをくぐり抜けて憲法草案を書き、そして大日本帝国憲法のもと第一回帝国議会に漕ぎつけるまでをつぶさに描く。とても読見ごたえがあった。2026/04/26
buchipanda3
95
「あぎゃん美しかもんば、いつか造る」。明治憲法の起草で大役を担った井上毅の評伝小説。名前を知る程度だった人物の人となりと業績、憲法制定という大仕事の苦心、維新の到達点のひとつ帝国議会開設までの混迷の政史が盛り込まれ、興味深く読めた。多数の文献を元に描ききった著者の熱量が満腔の熱血と伊藤博文に評された主役と重なるかのよう。相手が誰であれつい信念に基づいて直言してしまう毅。でもだからこそやり遂げたように思う。そして彼らの議論を読むうちに旧憲法が本来目指したものが熱と共に伝わってきた。クセ者揃いの明治譚を堪能。2026/05/04
TATA
40
大日本帝国憲法の起草に大きな貢献をした井上毅の生涯。井上の成長もそうだが、維新後の日本社会が徐々に成熟していく様を一緒に見ていく体で物語は進む。西郷、大久保から伊藤、山県、大隈とその時代に名を残した人たちがそれぞれの役割を終え鬼籍に入る中、日本の社会は少しずつ成熟していく。少々維新の英傑達を個性的に描きすぎなきらいもあると思うけれど、それで読みやすくなってるのでしょうね。力作でした。写真を見ましたが井上毅、イケメンですね。2026/06/12




