日本の「射精責任」論

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日本の「射精責任」論

  • 著者名:齋藤圭介
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  • 太田出版(2025/12発売)
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  • ISBN:9784778340988

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内容説明

私たちはもう、「射精責任」という言葉がない世界には戻れない――。

「望まない妊娠」は男性の「無責任な射精」が原因であると喝破したことで、刊行直後から大きな話題となったガブリエル・ブレア『射精責任』(村井理子訳、齋藤圭介解説)。そこからさかのぼること約30年前、日本ではすでに、男性の射精とその責任をめぐる議論が行われていた。

蓄積された知見を蘇らせるだけでなく、第一線で活躍する13名の研究者が現代における課題をそれぞれの専門領域から議論した。男性と射精をめぐる議論の現在地と、進むべき道を明らかにした論文集。

■所収論文一覧

齋藤圭介 ガブリエル・ブレア『射精責任』と日本の射精責任論

沼崎一郎 〈孕ませる性〉の自己責任――中絶・避妊から問う男の性倫理
宮地尚子 孕ませる性と孕む性――避妊責任の実体化の可能性を探る
森岡正博 膣内射精性暴力論の射程――男性学から見たセクシュアリティと倫理

伊藤公雄 男性の「ケアの力」という課題――射精責任論とマスキュリニティ
赤川学 『射精責任』と精子の行方
森岡正博 男性の射精責任をどう考えるか
多賀太 生殖に関する責任の共有に向けた男性支援へ

江原由美子 「射精責任」と「女性の自己決定権」
菅野摂子 性的同意と射精責任
塚原久美 女性のリプロと男性の射精責任

竹家一美 孕ませられない責任――男性不妊の文脈で「射精責任」を考える
新ヶ江章友 異性間による射精責任を相対化する――同性間による人工授精とHIVの文脈から
中真生 生殖する身体から避妊や妊娠の責任を考える

齋藤圭介 男性の射精とその責任をめぐって

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

katoyann

17
ベストセラーとなったガブリエル・ブレアの『射精責任』は、女性のリプロダクティブ・ヘルスに対する責任を男性に突きつけたという意味で画期的であった。本書は、日本における男性の射精の問題について、日本の研究者の論稿を編纂したものである。すっきりした議論のみを切り取るなら、氾濫するポルノやインターネットの誤った情報に接する若者がいて、その原因が包括的性教育の不在にあるとする話がわかりやすい。不同意性交等罪が成立し、性的同意が重視される現在だからこそ、男性は避妊に対して、暴力に対して無関心ではいられないのだ。2026/03/14

駒場

4
『射精責任』について、日本では実はピル解禁の議論があった90年代に男性学の研究者から問題提起があったという話は驚いた(ただあまり発展・継続しなかったようだ)。従来の中絶議論は女性・胎児の対立モデルだったが、透明化されている男性を組み入れたトライアドとして議論していく必要性を述べる。そりゃそうだ!と直感的に腕を振り回したくなるが、男性責任を前面化することで逆に女性の主体性が否定されたり、女性の出産強要=家父長制への隷属強要につながる懸念もあると。この本がプラットフォームとして参照され議論が深化することを望む2026/01/30

すのさ

3
日本でも2000年前後のピル解禁を契機として、男性の射精責任をめぐる議論が展開されていた。本書では沼崎論文、宮地論文、森岡論文が挙げられている。どれも現代社会を論じたものかと思うくらいの新しさがある。つまり、第15章でのまとめにもあるように、日本の射精責任論は2000年前後に鋭い議論が放たれたものの、社会に浸透することなく埋没してしまったようだ。そこから現在、ブレアの『射精責任』が話題となったなか、読者として考えるべきは射精責任論をどのように社会に展開していくことかだろう。2026/10/07

たろーたん

2
射精責任とは何か。どこに面白さがあるのか。それは、今まで中絶の責任は「女性100、男性0」だったのに対して、射精が無ければ妊娠はできないのだから、望まない妊娠の原因はむしろ「女性0、男性100」ではないかとしたところである。妊娠後の出産においては、男性も養育費などで責任を取るが、それより前にある妊娠前においても男性の責任の所在を訴えたのが射精責任の面白い点である。つまり、極端に言えば、中絶問題は女の問題ではなく、男の問題なのだ。(続)2026/08/19

brzbb

1
望まない妊娠は男性が射精しなければ100%存在しない、というブレアの『射精責任』の論点はシンプルで明快。実は約30年前の日本で論じられていた射精責任論の論文や、男性学、フェミニズム、不妊、同性愛などの視点から、日本社会における「射精責任」論を集めている。中絶と男というとアジェイ=ブレニヤーの短編「ラーク・ストリート」を思い出す。最近観た映画『マーティ・シュプリーム』は射精責任の映画だった。なぜブレアの本にインパクトがあったのか分析する江原論文がめちゃくちゃ興味深かった。女性の自己決定権と男性に責任を2026/03/17

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