内容説明
現代パレスチナ史の世界的泰斗が、シオニズム運動の胎動から2023年ガザ虐殺まで、その歴史をわかりやすく解説。世界水準の基礎知識がコンパクトな一冊にまとまった決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
73
本書の「おわりに」から「パレスチナ人が解放闘争を行う権利が全世界から認められないかぎり、イスラエルとパレスチナでは血が流れ続けるだろう。」、これを書いたのが、1954年イスラエル生まれのユダヤ人歴史学者(現在はイギリスに居住)であることに、問題の本質が見える。180ページあまりというコンパクトな著作ながら、特に第1次大戦後のユダヤ人移民の現実とパレスチナ人との闘争、そしてそれがシオニズムという「移民植民地主義」であったことを明らかにする記述は初めて読んだ。ガザの問題に関心のある方はこれは必読書と思う。2025/12/14
holyberg
11
読み始めてパレスチナ人側からの視点で書かれたものと思ってしまったのですが違いました。著者はユダヤ系イスラエル人、ヨーロッパ系ユダヤ人というマジョリティの視点で記述されたもので、それは衝撃のほかないと思います。2023年10月7日ガザ一斉蜂起とその応酬、ハマスのテロが発端と国際世論というか日本での認識はそれですがこの本を読めばそれがあまりにおかしい言説と分かります。このような本をタイムリーに出版できているのは本当に凄い話。そしてたくさんの人に読まれるべきと思うのでした。2026/10/03
shinobu
6
新書1冊にイスラエル建国に至る経緯から現在までがしっかりまとまっている。 イスラエルによるパレスチナ入植は、かつてヨーロッパがお行なった植民地政策と同じであると本書で述べられている。以前から住んでいた住民を力ずくで追い出し、迫害し、そこに自分達の中でも貧困層やコミュニティに馴染まない人々を入植させる。まさに現代の植民地政策だ。2026/06/21
豚肉丸
4
「イスラエルにとっては、わたしたち全員が歴史を忘れ、パレスチナ側の暴力は狂気の沙汰であってユダヤ人殲滅のためというレンズを通さないことには理解できないと考えてくれたほうが都合がいい。そうすればイスラエルは、以前なら道徳的・戦略的な見地から却下しただろう数々の政策を遂行するための白紙委任状を手に入れられる。そして欧米諸国もそれに倣うのだ」(p.176〜177) 民族浄化の経緯と現在に至るまでの流れを簡潔に記しながら「入植者植民地主義」のタームを用いてイスラエルの思惑を整理しており面白い。2026/05/23
Tomozuki Kibe
3
これは歴史書の形態をとったユダヤ人のユダヤ人への弾劾書であり、告発本といえる。シオニズムの歴史を紐解きながら、アラブ人の住む土地を「主なき土地」と呼ぶ。この視点に立った時パレスチナ人への人権などは映らない。各地での迫害がそれの正当化を進める。困ったことに80年住み着いたユダヤ人にとっても「ここは生まれ育った故郷」になてしまっていることだ。そして彼らはこの地は「主なき土地だった」と教育されているのである。2026/10/02




