内容説明
地方自治と自治体の政策法務を2つの柱として研究を重ねてきた著者。この本は、そのうち生活保護を中心とする貧困行政とヘイトスピーチに着目してまとめたものである。
貧困行政は、日本国憲法の下、生活保護を中心に発展してきた。昨今は生活困窮者自立支援法の制定や子どもの貧困、貧困の連鎖への対応などへと広がりを見せている。また、教育行政との関連では、奨学金のあり方などが注目されている。
ヘイトスピーチは、憲法による表現の自由保障の観点から、強い規制がなされにくい。一方、これによって甚大な被害を訴える在日外国人が顕在化してきている。彼ら/彼女らの救済に向けた取り組みが一部の自治体でなされつつあり、その可能性と広がりについての検討が改めて求められている。
著者は、現代日本において切迫した課題となっている、貧困行政とヘイトスピーチ対策について取り上げ、その現状と論点を分析し、今後に向けた検討課題について世に問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yuko
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著者の山口先生は自治体職員から大学教授へと転身された方。この本は、著者が生活保護のケースワーカーとして在日コリアン多住地区とかかわった中で貧困や外国人差別という意識が醸成されたこと、大学就学支援制度の準備を通して子どもの貧困と貧困の連鎖が深く強く結びつくなど、実務者・研究者としての生涯をかけた集大成のように思う。私自身が仕事を通じて感じた貧困や差別に対する怒りややりきれなさも重なる。我が国の貧困行政の歴史を概観しながら憲法の人権や地方自治まで幅広い。歴史に学び考え続けるために、ぜひ読んでいただきたい一冊。2025/12/15




