内容説明
「もしかして、光?」東大赤門前で声をかけてきたのは、小学校6年生以来、7年ぶりの再会となる長谷川琴葉だった。そんな時、当時の担任だった中山が川から遺体で発見されたとの報が入る。中山の訃報を告げると、「中山を殺したの、私だよ」と琴葉。そんなはずない。琴葉が中山を殺したなんて、絶対にありえない。なぜなら――母親からの呪縛、敷かれたレール。互いに言えぬ“嘘”を抱えた2人が、自分と向き合う旅が今始まる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
27
親元から離れ東京の寮で生活する19歳・朝日光が、偶然再会した小学校の同級生・長谷川琴葉。当時の担任が川で転落死したニュースを知った光に琴葉が意外な告白をする青春ミステリ。小学校時代に突然転校してずっと音信不通だった琴葉との突然の再会から、思わぬ形で一緒に逃避行する2人。一緒に向かった京都での出会い、仲が良かった2人の小学校時代や10年前の同窓会での出来事、そして重ねてきた嘘があって、そこからの鮮やかな構図の変化から、対照的に見えるけれどともに母親に振り回されてきた2人が見出した結末がなかなか印象的でした。2025/11/27
エドワード
25
18歳の朝日光は、東京・本郷三丁目の女子寮で勉強の毎日。ある日、光は大好きな東京大学赤門前を散歩中、小学校の同級生・長谷川琴葉と再会する。途中で転校した琴葉と空白の期間を埋めるように意気投合する光。二人は一緒に行けなかった京都修学旅行を再現する。これが面白い。二条城、嵐山、平等院、伏見稲荷。修学旅行ってハードだね。しかし道中で琴葉が「中山先生を殺したのは私だよ」と語り、光の心は揺れる。<琴葉は嘘をついている>。実は光も嘘をついている。嘘には悪い嘘と優しい嘘がある。優しい嘘つきなふたり。また京都へ来てね。2026/03/06
リュウジ
12
★4結局生きるのに大事なのは「自分なら自分の人生をどう生きるのか」ということ。それを小学生時代にできなかった修学旅行を再現する親友二人+何人かの女性たちを絡め、「結局は何でもあり。正解なんてない」ということを説教臭くなく(少し理屈っぽく)物語化。いい小説というよりも展開が面白いお話でした。よかったのは(男の先生を除き)登場人物みんなが悩みながらもポジティブでマイペースなこと。「人生はやり直せないが、実は生き直すことはできる」ということですわ。若者の自己肯定感のなさが話題になる今の時代の作品ともいえるかも。2026/01/28
バーニング
5
ユーフォシリーズもそうだし『愛されなくても別に』もそうだが、女と女の話を書かせるとうまいですね。どれをとっても単純なシスターフッドに流れるわけじゃないが、女と女の間だからこそ生まれる感情の重たさをポジティブに書こうとしている。母娘関係だとじゃあネガティブかというと、それだけじゃない。いろいろな母娘関係があることを書き、呪縛から抜け出す可能性も提示しているのもいい。2026/01/02
宮島さん
4
ユーフォのザ・青春と変わって人の暗い部分を描いている。別作品との違いを楽しめた。2025/12/30




