内容説明
アマゾン川の最奥、地図上では原野が広がっているだけの無人地帯に「黄金の地」は存在する。荒くれ者の貧乏人が巣食う金鉱脈だ。この地は誰でも受け入れる。前科の有無は問われない。IDすら不要。ただし条件がある。金鉱山の場所を明かした者は殺される。黄金による人生の一発逆転を夢見て、男たちは泥に塗れ、穴を掘って掘って掘りまくる。ブラジルの最底辺を鮮やかに切り取る異形の記録。(解説・町田康)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
13
「ここじゃあ、忘れなきゃやってられないことが3つある。不快な泥、不味い飯、人が消えることだ」ブラジルの金鉱山で「奇跡の一発」を求めて働くガリンペイロが地に足就いた密着取材の中で生き生き?と描かれる。荒くれ者に前科者と一癖も二癖もある連中にあって印象的なのはラップ小僧。多弁のお調子者でありながら聖書を諳んじる異色のガリンペイロだが、取材中に姿を消してしまう。朽ち果てまた生まれるジャングルのように、金がある限りガリンペイロは今日も生まれ、消えていく。『ヤノマミ』『ノモレ』に続き国分拓さんにハズレなしの名著。2026/02/21
駒場
6
前科者だろうがジジイだろうが、来るもの拒まず去るもの追わず。場所を明かしたものは許されないというファイトクラブ的男性優位主義の煮凝りみてえなアマゾンの奥地で違法金鉱で働く男(と時々女)のドキュメンタリー。だが、一攫千金を夢見る若者・ラップ小僧を軸に話が進み、演出がドラマチックなので映画っぽさがある。意外にも電気が通ってテレビも見られるし、娼婦も来るし、週に一度は休みもある。だが金の7割はボスにハネられるし、夢みたいな逆転はほぼない。熱病から覚めて澱に飲まれたら、そこを去るか、惰性で生きるしかないのだ2025/12/13
カノープス
4
アマゾン奥地の非合法金鉱山で働く男たちの人生を描く迫真のドキュメント。表向きはノンフィクションだが半小説的な性格を帯びている。この詩的・哲学的な側面こそが本作の核心であり、人間存在の根源的な問いを静かに投げかける力を持っている。本作の哲学的核心は、人間とは何か、欲望とは何か、という問いにある。ガリンペイロが集う地の「掟」は、過去を問わず誰でも受け入れる【自由の極致】であると同時に【絶望の牢獄】。『ヤノマミ』から連なるアマゾン三部作を書き上げた国分には感謝しかない。こんなすごい物を他に誰が書けるというのか。2026/01/11
うだうだ
3
強盗・殺人・麻薬・売春・逃亡・子供の遺棄…なんでもありな世界、つまり人生の終着点みたいな場所に流れ着いた男たちの話。クレイジージャーニーを超える世界を取材した著者に脱帽。2026/02/16
tonootto
3
法秩序の外の外、文字通りのアウトローの極みのような違法金鉱山の、泥と欲望と狂気にまみれた1年間。NHKで放送されたドキュメンタリー番組の書籍版らしいが、ルポルタージュというより小説のような形式で、どこまでがノンフィクションなのかよくわからない。鉱山の男たちの法螺話も混ざっているだろうし、著者による想像や脚色も含まれているかもしれない。虚実の曖昧な筆致は、どこにあるとも知れぬ黄金に心を囚われたガリンペイロたちの物語には相応しいのかもしれない。2026/01/15




