内容説明
G8首脳のクローンと医師ガーリンは、核攻撃を避けるため北へ向かう。謎のコロニー、日常化する戦争、サーカス、巨人女……。『青い脂』の衝撃が近未来の異世界に響きわたる集大成的傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
64
舞台は近未来。隣国との戦争で戦争難民となったドクトルの旅を追って物語が進みます。自分の意志と未来を信じる彼と多様な世界を巡るその旅はある種の寓話のようで楽しいばかり。最後、世の不条理を凝縮したような世界で彼は未来を希望することをやめますが、ある魔法で自分の世界と未来への希望を取り戻します。ただ元の世界も戦争と伝染病が蔓延する不安定な「現在や将来への確信が失われ」た世界なのですが、最後彼はその世界を「宇宙でいちばん素晴らしい」自分の世界だと肯定し受け入れて、美しい愚かな世界と人間への賛歌を聞くようでした。2026/07/24
藤月はな(灯れ松明の火)
56
戦争が絶えない世の中に背を向け、恋人、マーシャといちゃつきながらもサナトリウムで2015年代G8リーダーのクローン達の精神疾患を治療するという平穏な日々を送っていたドクトル・ガーリン。しかし、サナトリウムの近くに核爆弾が落とされた事によって彼らは逃避行を余儀なくされる。箱庭世界から混沌とした世へ飛び出した彼らの命運は如何に!?相変わらずの下品オンパレードだが、かなり、読みやすくなっている。前作『吹雪』のセルフパロディがありつつも全く、違う読み心地になっているし、作中作が幾つもあるので一粒で何度も美味しい。2025/12/29
姉勤
39
著者初読。本作は3部作の真ん中と。現代ロシア世界に対する皮肉、諧謔、批判は感じたが、話の荒唐無稽ぶりに「?」マークの連続で自分向けでは無かった。かつてのG8経験者が某任天堂のカービー(ニコちゃん大王)の様なミュータントとして入院しているサナトリウムの、チタン義足の医師ガーリンが、核戦争を避け転々と流浪する物語。ロシアの少数民族問題、シベリア抑留を代表とした拉致強制奴隷労働、民族紛争、対外戦争等の諸問題を混ぜ込んだ、おおよそ短文で要約できない代物。逗留先で何かとモテる主人公のため、まぐわいの描写は多数多様。2026/05/28
そふぃあ
22
分厚さ(二段組450p超)よりも値段(税抜¥5200)に覚悟を試された。ニコちゃん大魔王みたいな容姿の大物政治家たちのクローンが出てくると聞いたので政治色の強い話かと思ったら彼らは中盤で退場。正統派?な近未来SFロードノベルだった。ずっと面白い話が続くのでいつ梯子を外されるかと構えていたが、話は最後まで一貫して面白かった。特に白いカラスの章がめちゃくちゃ面白くて一気読みした。ここだけで独立した話にできる出来栄えと思う。2025/09/26
ポテンヒット
12
前作「吹雪」で傲慢だったガーリンが人間らしさを取り戻したのはセキコフとの事があったからだろう。今までのガーリンは生き急いで働く現代人の象徴でもある。しかし、平穏な日々は長く続かず、色々なものに巻き込まれ、巨人や小人、ゾンビにミュータントまで現れてソローキン流の指輪物語が始まる。その中にロシアの歴史や戦争、文学が組み込まれている。戦争は突然始まり、人があっけなく死んでゆく。今の戦争を表しているかと思ったが、発行は2021年。ガーリンが本や文字を読む場面が度々ある。→2026/09/08




