内容説明
忠義と仇討を胸に、若武者は疾走する
【2冊連続刊行! いよいよ天下分け目の決戦へ――】
慶長五年九月。主君・真田信幸の密命を受けて信州・戸石城を発ったのは、真田家の若き家臣・鈴木右近、数え十七。巨大な野太刀を背負い、家来の榛名大吉と従僕の権蔵を伴った右近は、「柳生宗矩の書状」を胸に納め、一路、岐阜へと急ぐ。
出立は九月八日午後。甲冑は櫃に回し、夜通し小走りで峠を越える――若さゆえの無鉄砲さと、任を果たす覚悟が右近らをひたすら走らせる。
八ヶ岳を仰ぐ大門峠へ、昼は日差し、夜は闇。息が上がるたびに歩調と荷を見直し、六十七里を刻む呼吸が揃っていく。右近は折にふれて懐の書状を確かめる――油紙に二重包みされたそれを、右近の剣の師・柳生宗章に何としてでも九月十四日までに届けねばならない。右近の胸の内には、愛する主君からの命令を絶対に果たすという固い決意と、仇敵・中山九兵衛への復讐心のみが宿っている――。この困難な任務の結果はどうなる!?
天下分け目の戦いを前に、真田信幸から鈴木右近に密命が下った。右近の剣の師・柳生宗章の元に、柳生宗矩からの密書を届けよ、と。信濃から岐阜へ、わずか七日の長駆。数々の峻険を越え、地侍の襲撃を退け、主君への忠義と両親の仇討二つの想いを胸に、若武者は家来とただひたすらに駆ける。困難を極める任務の結末はいかに?
右近よ、走れ。
宿命の関ケ原へ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
45
第一作からこの人のシリーズものにしては間を置かず第二巻が刊行。読みやすい時代劇で、「三河雑兵心得」「北近江合戦心得」との戦国三部作シリーズとして刊行という大胆な意図をエンタメでトライ。確かに同時代の合戦=国際政治がそれぞれの論理で語られ、しかも想像上の人物が自在に動くものだから、多面的に捉えられて面白いが、人物の混同が生じて来ている。流石に先発で幾巻も先に読んできた三河雑兵心得の面々は覚えているが後の二作の人物との相関を把握しつつ読むのは難儀。本作にも植田茂平がカメオ出演。一言でいえばそれでも面白い。2025/11/19
saga
41
東軍に与した真田信之から託された密書を、西軍・小早川秀秋陣内にいる師匠・柳生宗章に届ける役目を負った右近。雨の山岳越えはしんどそう。同時進行で『三河雑兵心得』シリーズでも関ケ原合戦を描いており、重層的に作品が楽しめる。さて、右近は無事小早川陣に着いたものの、戦が始まってしまう。密書のおかげか、史実どおりに小早川は西軍を裏切り、東軍側として右近も戦働きに出るのだが……仇敵・中山九兵衛と出くわして対決するも、勝敗つかず。たった一日の関ケ原が終わり、師匠の愛娘・沙良と右近も良い雰囲気になって、一先ず良かった。2025/11/10
fuku3
19
2025.12.23読了。シリーズ第2弾。右近は真田信幸の密命により、西軍の小早川秀秋軍の剣術指南役の柳生宗章に密書を届ける事に。信州の戸石城から関ヶ原まで六十七里(268㌔)を七日かで!殆ど不眠不休の強行軍。右近はただ一途に主君信幸の為に!仇敵、中山九兵衛を討ち取る為に!何とか開戦前に関ヶ原には着いたものの、小早川の陣が何処か分からない⁉︎前日からの雨は止んだが、濃霧が立ち込め何も見えない⁉︎松尾山に陣を引いた小早川軍をやっと見つけ宗章に密書を渡す事が出来た。その書状を見た小早川は松尾山を駆け降りた!2025/12/23
やま
9
シリーズ2作目。関ヶ原の戦いが直前が舞台。主君の密命を愚直に遂行する右近、仇敵との対決、紗良との距離感も縮まり、面白い展開でした。2025/11/22
りゅうのすけ
8
今回は関ヶ原の合戦…いつもながら井原忠政さんの時代小説は読みやすくて楽しめます。井原さんの視点が歴史の中心人物ではなく、近いけど少し距離がある人の目で見ているからでしょうか?次巻以降の展開がとっても楽しみです。2025/11/11
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