講談社現代新書<br> 戦中派 死の淵に立たされた青春とその後

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講談社現代新書
戦中派 死の淵に立たされた青春とその後

  • 著者名:前田啓介【著】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 講談社(2025/10発売)
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  • ISBN:9784065376874

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内容説明

アイツが死んで、オレが生きた。誰にでもアイツがいた――。

戦没者が最も多かった1920~1923年生まれの若者たち。
青春を戦争に翻弄され、戦場で死の淵を覗いた彼らは、戦後、「なぜ死ぬのか」から「なぜ生きるか」への転換を強いられることとなる。死者という他者を内に抱えながら、高度経済成長の原動力となった数奇の世代の昭和史!

「一番割を食った世代」――安岡章太郎
「いかに生きるか、よりもいかに死ぬべきか、に心を砕いてきた」――中村稔
「私たち戦中派は、死の匂いの中で、死をめざして育った」――山田宗睦
「死者の身代りの世代」――吉田満

吉田満、古山高麗雄、山田風太郎、水木しげる、司馬遼太郎、山口瞳、安岡章太郎、遠藤周作、阿川弘之、三島由紀夫、山本七平、志垣民郎、杉本苑子、吉村昭、城山三郎、中村稔、吉本隆明、鶴田浩二、池部良、田村隆一、鮎川信夫、橋川文三、鶴見俊輔、矢内原伊作、中内功、塚本幸一、岡本喜八、安田武、渡辺清、千玄室、岡野弘彦、平井啓之、島尾敏雄、庄野潤三、向坊壽、辻邦生、北杜夫、山田宗睦……、彼ら戦中派が見た戦争、そして戦後とは?

【本書の内容】
・戦中派とは世代規定であり、自己主張である
・戦中派「コペル君」たちの豊かな生活
・吉田満たちの青春を伝える日記
・「いよいよ戦争がはじまりますかな」――開戦の日、そのとき彼らは
・生死を分けた徴兵猶予の停止
・「ああ、もう生きて帰れへんのや」――千玄室
・学生のズボンについた泥――出陣学徒壮行会
・そして新宿から誰もいなくなった
・あだ名は「お荷物」、医務室では「お得意さん」、戦場に出れば「敗残兵」――古山高麗雄
・中内功が体験した「人間の限界を問う飢餓」
・戦艦大和沈没後、吉田満はなぜ特攻を志願したか
・「日本は決して『自由』も『平和』も獲得していない」――山田風太郎
・遠藤周作が感じた1964年東京五輪後の「空虚感の苦しさ」とは
・古山高麗雄、安岡章太郎、安田武らの忘れがたい友人
・学徒兵のやり直しだった三島事件
・戦中派が作った勤勉システム
・戦中派の「サバイバーズ・ギルト」
・死んでなお続く物語
・「戦友会」という曲

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

62
戦中派。漠然とした理解しかなく読了。私の祖父の世代。青春時代は第二次大戦と重なり死が眼前にあった。如何に自分を納得させて死ぬか考える日々。敗戦を迎え生き延びた人々は戦中派となり、如何に生きるかを考え日々を過ごす。傍らには亡き戦友や戦争で亡くなった知己への思いがある。やはり、生き延びた後ろめたさが強く残る。生死は紙一重のことだろう。彼等は一度死んだ身との思いや、戦友に新生した日本を見せたい気持ちから高度経済成長期を支え懸命に働く。復興した日本の利益主義や公共心の低下に彼等は違和感を持つ。考えさせられる一冊。2025/12/15

kawa

37
アジア・太平洋戦争時に青春時代を生き、自らも戦場を潜り抜けた若者の葛藤をドキュメント。1917〜27年生まれを「戦中派」と定義、22、23年生まれが最多の犠牲を被っていると言う。ちょうど我が父が23年生で満州で召集を受けている。戦中は、死の淵に立たされ中で人生の意味に葛藤、戦後は殺されていった仲間への負い目の中で、日本の再生に奮闘した世代。その心情の一端を理解できるが、正直これほどまでとは思いもしなかった自分が恥ずかしい。戦前から戦後、日本人の「思考構造」は変わっていないと言う彼らの指摘もショックの良書。2025/12/21

masshib

4
図書館で借りて読了。親世代より少し上、若き日の私を指導してくれた「戦中派」の人々。彼らになぜあれほどの胆力があったのか。 それは彼らが戦争で一度死に戦後を「二度目の誕生」として生きたからだと本書で知った。一度捨てた命だからこそ復興のために迷いなく懸けられたのだろう。 今の日本があるのはこの「再生した魂」を持った人々のおかげだ。彼らの背中を見て育った最後の世代としてその精神を少しでも理解できたことを嬉しく思う。ハラスメント、コンプライアンスです当時を不適切という風潮が強まっている今改めて当時を懐かしく思う。2025/12/03

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