内容説明
天明四年五月の十三夜。御先手弓組番方・幣原喬十郎は男女の惨殺体を発見する。傍らには匕首を手に涙を流す若い男が一人。喬十郎は咄嗟に問い質すが、隙をつかれて取り逃がす。その男は闇社会で名を轟かせる大盗一味の千吉だと判明。殺害された男の周辺を洗う中、再び遭遇するも、千吉は殺害を否定し、再び姿を眩ませる。十年後、喬十郎は、銭相場トラブルで一家を殺害された塩問屋の事件を追う過程で、両替商となった千吉(利兵衛)に出合う。火付盗賊改長官・長谷川平蔵に助言を仰ぐも、突然の裏切りに遭い、左遷されてしまう。悪事に立ち向かう喬十郎と、江戸の闇社会に生きる千吉。宿命的な敵対関係を描き出す、血湧き肉躍る時代小説。
目次
十三夜の邂逅
長谷川平蔵の罪
悪の絵図
政と謀
余
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ワンモアニードユー
4
長年の関係性、侍と盗人。それを縦軸に、権力の汚さが覆い被さる。長谷川平蔵、遠山金四郎なども脇に固めて、骨太なストーリー。まあ満足だが、やはり残月ほどのインパクトはないなあ。2025/10/03
好奇心
3
御先手弓頭とは、幕府の常備軍として治安維持にあたる「先手組」の弓組隊長のことだ、この職に就く幣原宗孝と盗賊あがりの両替商になった、銀字屋利兵衛の生涯に渡る、当初は捕縛方と盗賊の敵対関係だったが、長い年月を経て、宗孝の最期を看取る仲になった、火付け盗賊改め方と重なる役目?面白く読ませて貰った2025/10/11




