内容説明
就活の最終面接の日、青森で漁師をしている父の船が遭難したという連絡が入った。家族と就職先を一度に失った桐ケ谷麻海は、東京で暮らす叔父・響介のもとに転がり込むことに。
居候としてなにか仕事をさせてほしいという麻海に、響介がかけた言葉は「掃除も洗濯も料理も別にやらなくていいから、俺の仕事をちょっと手伝って」。
響介の職業は、保険調査員。保険会社から依頼を受け、保険金を支払うにあたって不正や問題点がないか調べる仕事だ。
麻海は見習い調査員として詐欺が疑われる事案の調査をするなかで、生と死、お金にまつわる様々な家族の思いにふれていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
216
保険調査員が重大犯罪を暴くドラマはあるが、こちらは純粋なお仕事小説。就活に失敗して叔父の下で調査員となった麻海が、あの手この手で保険金詐取を図る連中に次々と遭遇する。彼らは揃って犯罪をたくらむ勇気もないが、小金を手に入れるチャンスに目がくらんで魔が差してしまうのだ。そんなのを散々見てきた叔父は人への信頼を失ったように無表情だが、麻海は人の愚かさ複雑さに興味を抱き仕事にのめり込んで思いがけない事実を明らかにする。それほど劇的な展開もないが、金に狂って道を踏み外すケチで小心な小市民の肖像画が面白く読まされる。2025/11/08
hiace9000
140
詐欺なんて絶対悪、もっての外!―おそらく誰もがそう思って普段生活しているに違いない。「普通に生活している普通の人間が、普通にやっちゃう」詐欺こそが保険金詐欺。サスペンスでもミステリーでもなく、なんだか行けそうな気がして、ちょっとした嘘でちょっと得できる予感にその人の良心が負けてしまう…まさに「魔が差す」のである。保険調査員(保険を支払うにあたり不正や問題点がないかを調べる)として働く麻海と叔父・響介の仕事は、派手でも華麗でもない、むしろ地味で地道。額賀筆はお金にまつわる等身大の悲喜こもごもをふわりと描く。2025/10/31
おしゃべりメガネ
114
200頁あまりのボリュームながら、内容はちょっとシリアスな感じも。父親が海の事故により、行方不明になった主人公「麻海」はこの先の身のふりかたもわからぬまま、久しぶりに現れた叔父と共に暮らすコトに。そんな叔父「響介」の仕事は保険調査員であり、就活がうまくいかなかった「麻海」は流れで「響介」の仕事を手伝うコトに。あらゆる保険金詐欺の手口をちょっとしたミステリー仕立てにして綴る額賀さん、さすがでした。詐欺で犯罪でありながら、手口や状況によってはなんとなく同情してしまいそうになる話も。色々と勉強になりましたね。2025/11/26
星群
98
〝普通の人間が普通にやっちゃうものなんだよ〟叔父&甥コンビによる保健調査員の連作短編集。そっか、保険金詐欺っていうと、真っ先に○人が思い浮かびますが、それだけじゃないんですよね。目から鱗です。あと、保健調査員って職種も今回知りました。2人の活躍を見てると、事件になりそうな種がうじゃうじゃ転がってるんですね。おそろしや。2025/12/17
itica
90
漁船が転覆して父親が行方不明になった麻海。この騒動で就活も上手く行かず、叔父の保険調査員の仕事を一緒にすることになった。保険屋の話かと思ったら、保険会社から依頼を受け、保険金を支払うのが妥当か調査する仕事だった。聞き込みや証拠調べ、推理と言ったところは探偵のようで面白かったが、保険金詐欺を疑うとこから始まる仕事は精神的にきつそうだ。どこかで父の死を受け入れなければならない麻海の支えとなっている叔父が素敵だと思った。 2025/12/25




