内容説明
世界文学の旗手が紡ぐ、初の連作長篇三部作、完結!
響きあう言葉とともに地球を旅する仲間たちの行方は――。
国境を越えて人と人をつなぐ、新しい時代の神話
ヨーロッパで移民として生きるため、自家製の言語「パンスカ」をつくり出したHirukoは、
消えてしまった故郷の島国を探して、仲間たちと共に船の旅に出る。
一行を乗せた船はコペンハーゲンからバルト海を東へ進むが、
沿岸の港町では次々と謎めいた人物が乗り込んできて――。
言葉で結びついた仲間たちの、時空を超えた出会いと冒険を描く、多和田葉子の新たな代表作。
『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』に続くサーガ、ついに完結!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
piro
35
『地球にちりばめられて』、『星に仄めかされて』に続く三部作完結編。失われたとされるHirukoの故郷を目指し、バルト海を東に向かう船に乗る一行。それぞれの視点で旅の様子が語られますが、正直言ってストーリーはよくわからない。所々に差し挟まれる言葉遊びの様な会話、民族のアイデンティティを思い起こさせるエピソードは、異国の地で暮らす人の心の中に仮想の故国を意識させる。物理的な国を失うという、あるかも知れない未来を想像し、その時どう生きるのかをHirukoが指し示してくれる様にも感じました。2025/10/28
昼香
8
hirukoの故郷(3巻を通じてついぞ国名は出てこない)をめざす船旅。だが、ただバルト海を周っているだけで、本当に到着する気があるのか?と訝しんでしまうものの、飛行機など現実的な移動手段が示唆されていると興醒めしてしまうので、登場人物が言葉遊びのような夢心地の世界に生きている空気感(ただし、登場人物どうしでも話が噛み合っていないことがしばしばあり、みんながマイペース)に魅了されていることを痛感する。3巻読み直して、意味があるのか無いのかつかみきれない言葉たちを再度咀嚼したい。2025/12/20
ひでお
6
多和田さんだから、ハッピーエンドにはなるはずもなく、アジアに向かうはずがバルト海を航海。世界の縮図のようなメンバーが、世界の縮図のような議論を交わし、時代も絵画の人物も登場し、混沌として幕を閉じます。書かれている言葉すべてに別の意味や連想がありそうで深読みしたり思考の渦に飲み込まれてしまいました。読み解くのに大きなエネルギーを必要とするので、しばらく時間を置いて読み返したいです2025/11/25
遠山
3
3部作の最後、これ面白いのか? と思いつつ最後。面白いのか面白くないのか分からないけれど、3冊も読んでしまうから面白いのかな。最後の方で「献灯使」との繋がりをようやく感じた。献灯使読みてえ。でも終わり方は好きだな、海溝ぶん投げエンドではなく洋上彷徨エンドというか、前も後ろも見渡す限りの海、海と空との境界がぼやけて、まるで浮いているみたい、時間の前後も消えて、生きてるのか死んでるのか。正直なんのこっちゃである、3冊かけて、ただ漠然とした、もやもやした不安のようなものを持たされて終わちゃった。面白かったのかな2026/01/03
まつ
3
三部作の最終巻。 日本と思われる祖国を追われた女性Hirukoを主人公とし、各国を巡り、多様な人種、言語に彩られながら、最終巻では祖国を目指し、船旅に繰り出す。 海というどの国にも属さない中立的な空間を漂いながら、各国に立ち寄ってゆくさまは、言語やそれを操る民族をテーマとする本作のラストに相応しいものに感じた。 作中にしれっと登場する、神話上の人物や過去の作家も、それらを一つの作品にまとめ、不思議な魅力ある筆者の知識の深さと手腕を感じさせた。全部を理解できていないとは思うけど、良い読書体験となった。2025/11/09




