内容説明
うつくしく奔放なシングルマザー・芙美子の娘として育った望。常識を教われず、どこか周囲から浮いてしまう望は、「普通になりたい」と願いつづけてきた。気まぐれな芙美子が唯一こだわったのが、毎食スープを飲むこと。しぶしぶ付き合ってきた望だが、いつしかスープづくりが楽しみに変わる。やがて、ある人物に恋心を抱いたことがきっかけで、人生を大きく動かす選択をすることに――。やさしいエールに満ちた「希望」の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
pukupuku
39
加藤千恵さんと朝井リョウさんのポッドキャストが面白すぎて、加藤さんの作品を読んだことがないので、まずは最新刊の小説からと思い手にした一冊。勝手に想像していたイメージとは全く違う作風で、いい意味で期待を裏切られました。フミコさんのしてることは、どう考えても育児放棄。多分本人なりの愛情を持ってはいるんだろうというのが最後の章でわかりました。でも、私には、今日もスープを用意してという言葉は、呪縛の言葉にしか思えませんでした。遥ちゃんの人生に呪縛は必要ありません。望さん、どうかよろしくお願いします。2026/05/01
papapapapal
37
唯一の肉親である母親がかなり世間とズレている事を幼い頃から感じ取り、普通に見えるように振る舞ってきた望の物語。望の目線→周りの目線で交互に描かれる。特に幼い頃のお話には胸がキュッとなる。どうにか子どもを守ろうと母親を叱る人、そっと見守り配慮する人、何かを感じ取り側にいる友人、母親から距離を置いた方が良いと言う恋人。どの人も人間臭くて良い。母親にはイライラしっぱなしだったけど、彼女は望にとっての敵ではなく、そこにはそれなりの想いもあって。最後の数ページ、なんとも言えない気持ちで本を閉じた。家族って難しい。2025/12/04
sayuri🍀
37
私は母性神話を信じない。世の中には我が子を可愛く思えない母親だって存在する。それでもだ。せめて子供が子供でいられる間くらいは必要最低限の義務を果たして欲しいと願わずにはいられなかった。自由奔放なシングルマザー・芙美子を母に持つ望が主人公。芙美子は幼稚園児の望をひとり家に置いて外出する。恋人が変わるたびに住む場所を変えていく。幼い望が空気を読み、立ち回る姿に胸が痛くなった。ネグレクトから始まった育児は望の成長に伴い子どもへの依存へと変化する。望が呪いから解放され自分の人生を取り戻せるよう願いながら読了した。2025/11/02
YUUUUMI
20
こういう作品を読むと、子供は親を選ぶことができないんだなと、つくづく感じてしまう。誰も育児をしてくれない親の元に生まれたくて生まれていないし、そこに子供の意思はない。そんな環境に溺れてしまうのか、自分は母親のようにはならないと自立の道を選ぶのかは自分次第。自分にとって確かな居場所がある安心感は必要だし、必ず毎日口にするスープもその居場所のようなものの一つなのかなと思う。親子の関係は複雑な時もあるが、言葉にしないと伝わらないこともある、微妙な感情を丁寧に描いた作品だ。2026/01/10
mariann
19
表紙に惹かれて手に取った。1ページ目でしまった。心の準備ができていなかったと後悔。重い。物語は主人公の望の6歳時から始まる。奔放で自分のやりたいことしかしない母親。けれど幼い子供にとって母親は人生の全て。否応なく翻弄されてしまう。どんどん歳を経て34歳まで。ラストで入った母親のエピローグは良かったけれど、その前が尻切れとんぼに思える。望みの思考もあまり共感できるものではないけれど一気に読み終えた。2026/03/02
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