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内容説明
カフカの5作目となる本作に収録したのは、38編のうち24編が、「カフカがカフカになった」と言われる傑作『判決』以前の小品、初期の習作です。カフカで一般的にイメージされる深刻さ、不条理といった色眼鏡を外せば、若書き特有のぎこちなさの奥にある原石の輝きが味わえます。「長編の助走かな」、「ん? これ、カフカ?」と思うような“青いカフカ”も垣間見えて、「カフカは一日にして成らず(?)」を実感できるでしょう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷるぷる
4
「2周目のカフカファンのための小品集」という説明は伊達じゃない。カフカの文章は全て読みたい人向けに小品集に収録されていたり新聞、雑誌に掲載されていたものをかき集めたもの。最初期の作品であるブレシアの飛行機が割と普通の紀行文でなるほどねと思う。ストーリーを語るよりも物事や心理を描画するような作品が多い気がしました。子供の幽霊との対話らしい「不幸である」、ひたすら息子達をこき下ろす「11人の息子」、対話形式だが何言ってるのか分からない「リヒャルトとザームエル」が好きだ。後書き読んで審判が読みたくなりました。2025/12/03
TT
2
★★★☆☆「本書は生前にカフカが活字にしたものを集めたもので 、2週目のカフカファンは贈る小品集」とのことです。「11人の息子」「小さな女」が面白かったです。サラリーマン作家であったカフカの世渡り、ストレス感情が生煮えで吐露されており、街で生きている人間カフカを感じました。解説にある「観察されているのは、内面というより外面なのです」の1文は目から鱗でした。丘沢静也さんの訳が好きで光文社古典新訳文庫でカフカを読み直してます。2025/11/24
条
1
「11人の息子」をこの本で再読するわけだが、ボルヘスがまとめたバベルの図書館に収録されているものと、かなり印象が異なった。これはほとんど周作期のものが収められているそうだが、配置によって、かなり印象が異なるように思う。私はこの作品が好きなので、異なる印象、翻訳で読めてよかった。2025/12/24
白い犬
1
全てをわかる必要はないだろう。だが「これは!」と胸を打つ瞬間も確かにある。そんな一冊とめぐりあった。2025/12/01
白いハエ
1
「観察」所収の何をしているんだかよくわからない作品群から、8年後の「田舎医者」に至ってそのエッセンスが濃縮されたように突然面白くなる。そこには断絶や方向転換があるわけではなく、ただカフカが煮詰まっている(正しい用法)のである。そのプロセスを見るだけでも面白みがあるし、このスタイルにも見果てぬ伸びしろがあるのだという驚きが今更のようにある。一方で、表題作「ブレシアの飛行機」のように伸び伸びとした旅行記も貴重だ(日記にはここまで晴れ晴れとした描写は珍しい。「判決」を書いた翌日の興奮くらいか)。2025/12/03
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