内容説明
2024年ノーベル経済学賞。独裁と無法の間にある自由に迫る!
なぜ自由は自然に生まれないのか? データが示す、僅かな国家のみが該当する「狭い回廊」とは? 人類史を総攬する、世界的名著
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
34
今年も大著にいざ出航。◉生命や健康、財産を脅かされず、自らの人生について自由な選択ができること。〈自由〉は貴重で人類史上まれなもの。その自由が花咲く場所は、無法な自由を統制する国家/法と、国家を牽制する市民/社会とが日常的にせめぎ合う狭い回廊に限られる。◉1-4_「自分で何とかせよ」という西アフリカの惨状。「万人の万人に対する闘争」状態よりも、強大なリヴァイアサン/国家による統治の方がマシだ(君主制、貴族制、または民主制であれ)。しかしそれがもたらす影響について、ホッブズは楽観的に過ぎた、と続く。2025/10/25
アナクマ
19
1-8_「自由になることは、タカの中に放たれたニワトリになること。自発的隷属に甘んじ、自由を手放す方がましだ」そんな世界もある。1-12_「法を執行し、紛争を平和的に解決し、弱者を強者から守ることのできる中央集権的権威」は自然発生するわけではない。国家はむしろ「規範の檻を人々に課し、自由をひどく阻害」することにもなりがちだ。どちらが良いか。→ 細い綱渡り。片側はリヴァイアサン不在の奈落。他方には専横のリヴァイアサン。真ん中の狭い回廊にだけ、目指すべき〈足枷のリヴァイアサン〉が。◉1章末節に全章ガイドあり。2025/11/13
iwtn_
5
文庫で出ていたので購入。中央集権的な国家(リヴァイアサン)は、不在であるよりも規範の檻を壊すことで、より社会をひとまとめにして強大にさせるが、専横的になり支配の継続のためにイノベーションを阻害する存在にもなる。社会はボトムアップで国家に足枷をつけ続けるようにしなければならない。実質、前著?の続編。上巻では、その主張の概説と、英国での成功事例、中国・インドの失敗事例への経緯が書かれている。わからないでもないし、頷きたい内容。しかしアジア圏の昨今の経済成長はどのぐらいで限界になるんだろう?という疑問は残る。2025/09/23
Ryo0809
3
国家論あるいは文明論とでもいえばよいのか。それとも、経済理論なのか…? 欧米はもとより、アフリカ、アジア、インドなど、各地域の歴史に密接に関連した国家の在り様を三態にまとめあげている。専横的な国家、法制度などの統治なき国家。その隘路のなかに自由のある国家が存在するのだが、その維持には絶え間ない社会と国家(政治)との綱引きが必要とのこと。自由はフリーライドできないのだ。中世ヨーロッパ社会の歴史認識が改まった。2025/10/08
くらーく
2
上巻は、リヴァイアサンや赤の女王と言った本書で使用する言葉(例え?比喩?)を説明。何とも私には馴染みが無い用語を使われてちょっと辟易。 最初に、P.171の主題図を見て、縦軸(国家の力)と横軸(社会の力)の意味を知ってから、各事例を読んだ方が理解しやすかったかな。頭から読む本じゃないな。 索引を見ると、日本は2か所で触れられている。どちらも中国に関する記述の部分で、日本との貿易やら植民やら。 国家の繁栄と衰退なのに、日本は対象外だったのかと。 そう思って、あちこちつまみ読み。ところが下巻で驚きの展開。2025/10/24




