内容説明
坂東玉三郎とは、何者なのか?
稀代の女形、五代目坂東玉三郎。
歌舞伎の家の生まれではなく、芸養子として歌舞伎界に入り、どう修業を積んでいったのか――
その生い立ちは意外なほど知られていない。
玉三郎と30年の交遊を結ぶ、小説家・真山仁が長年の対話を元に小説形式で描いた第一部「秘すれば花」。
そして、玉三郎が傾倒する世阿弥の『風姿花伝』にちなみながら、玉三郎の哲学と美学の深淵に迫った第二部「その風を得て」。
現代人に大いなる知恵を示す玉三郎の言葉の数々と、貴重な写真を収録した完全保存版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
169
真山 仁は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、粋と雅を兼ね備えた人間国宝、坂東 玉三郎を描いたノンフィクションでした。しかし伝統芸能の世界は厳しい。著者と坂東 玉三郎が、こんなに親しいとは思いませんでした。 https://mayamajin.jp/books/tamasaburo_t.html2025/11/16
kaoru
64
真山仁と坂東玉三郎の信頼関係が作り上げた一冊。数々のインタビューでの玉三郎の言葉はどれも実に貴重。「演じる」とは自分からの逃避で「自分を消すことで‥その瞬間、特化した想念が飛び出して、一つの役柄になる」「誰にでもある心の闇やマイナス志向のようなものを否定するから…生きづらくなる」「怒りも恨みも向かうべき実体あってのこと。今は相手がはっきりわからない状態で感情を吐き出している」「スマホを使う人が悪いというよりは、それを発明してしまった人間の根源的な悪が横行している」玉三郎は「魂がなくなる時代」を予言する。→2025/12/27
えいこ
9
玉三郎さんのインタビューには、声色、表情、選ぶ言葉にいつも見入ってしまう。小説家である筆者が長年にわたる交流の中から、玉三郎さんの生い立ち、生き方や時々の心情などを汲み取り、話し、書き上げた本書。玉三郎さんの大切にすること、芸や文化に対する考えがよくわかる。さらっと読みやすいが、真っ直ぐ真摯に自身と芸の道に向き合って来られた方ならではの深みがある。2025/10/16
キヌモ
7
小説家真山仁がまだライターだった頃から玉三郎のインタビューを続けている、いわば玉三郎取材の集大成のような本である。玉三郎を身近で深掘りしている。小説家目線なので、読者にもその心のうちがよくわかって、本当に興味深い。 しばらくしたら、再読したい。2025/10/16
ゆぽ
6
真山仁さんと玉三郎さんの交流は知りませんでしたが、長く交流してきたからこそ引き出される自然な玉三郎さんの思考を読めて嬉しい。照明にこだわること、「いちご」のくだりなどはなるほど!と。厳しい指導を受けていた頃の話、「心で何を考えていても自由」というのが印象的。2025/10/28




