内容説明
『ハンチバック』を超える衝撃の第二小説集
芥川賞受賞作『ハンチバック』を超える衝撃の第二小説集!
「何でもいいから何かを撃ち殺したい」
難病と生きる身体から放たれる言葉が現代を撃つ。
「おねえちゃまへ。元気ですか」
筋肉の難病を患う主人公ガゼルと、同じ病気を持つ姉との関係を描く表題作に、性差別主義的な哲学者を信奉する女子大学院生が三島由紀夫原作のAVに出ようとする「オフィーリア23号」を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
185
市川 沙央、芥川賞受賞後第一作です。本書は、中編+短編の2作品、芥川賞受賞作『ハンチバック』を超える衝撃との触れ込みですが、『ハンチバック』を超えていないと思います。 表題作よりは、『オフィーリア23号』が好みです。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639202142025/10/18
ネギっ子gen
71
【ヴァイニンガーが言ったこと。女性には存在も本質もない。女は存在しない。非在なのだ】併録の、女子大学院生が三島の『憂国』のリアル映像化(本番行為ありで、AV動画サイトに配信予定)でAV女優をやるように劇団主宰の恋人から頼まれる「オフィーリア23号」(芥川賞受賞後第一作)が良かった。<最悪に不機嫌そうな顔をしているとしても今のわたしは機嫌が悪いわけではない。たいして忙しくもない。ただ、毟っても毟ってもこめかみの奥に根を残す頭痛の宿主として、寸分先の未来に不安を抱えているだけだ>と。シニカルさが光る佳作。⇒2025/11/12
pohcho
67
「オフィーリア23号」「女の子の背骨」の二編。「オフィーリア」は読みづらくて途中でやめようかと思ったが、なんとかがんばって読了。最後に平和の少女像出てきてびっくりしたけど、結局よくわからないままに終わってしまった印象。「女の子の背骨」の方がまだしも読めたかな。姉妹で同じ生まれつきの病気を持っているけど、姉の病状は重く妹は軽い。妹も同じ病気というのがわかりにくく感じた。2025/10/16
道楽モン
66
田中康夫が『なんとなくクリスタル』で用いた方法論のアカデミック版!?。全編に散りばめられた多くの記号と、「これ分かります?」的な引用のパッチワークは、かなり戦略的な匂いを感じる。「JAGUARをジャギュアと発音するのはキモい」なんて大江健三郎じゃないですか。埴谷雄高や三島由紀夫の導入なんぞは、純文学大好きな人には堪らないだろう。こうしたアイコン達を、現代の文脈に配置することで教養あふれた品格と、先鋭的な思想(LGBTや反パターナリズム、反ルッキズム等)との融合を成す。まさに2020年代を表現した短編2作。2025/10/17
yumiha
37
表題作は50ページほどの短編。同じ筋肉の病気を持つ姉は入院中なのに、「俺は神」とのたまふパパと「エレガント」第一なママと5回も「憫笑」する伯母とその夫と、グアム旅行中の10歳のガゼルは側彎矯正コルセットを装着。そんな大人たちとの旅行って楽しい…はずはないわな。同じ様に1人で病室にいる姉を思い浮かべたり、「お泊り会しない?」と繰り返し思ったり…つまり孤独な毎日。ウォーボンネットかぶってファクトリーアンモを込めた拳銃をぶっぱなしなさいな、それで憂さ晴らしができるならば。世間から落ちこぼれたカブさんと一緒に。2025/12/08
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