内容説明
南太平洋に浮かぶ人口百名足らずの小島は、IT業界の寵児が訪れるとの噂で沸いていた。なんでもここに新国家を作るという。だが島には彼のかつての親友が家庭を築いていて――テクノロジーと人間の相克、そして果たされなかった友情の行方。迫りくるシンギュラリティを前に文学の可能性を映し出す、謎と驚異に満ちた物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
85
パワーズ初読み。女性ダイバー草分けのイーヴィー、〈プレイグラウンド〉を運営するトッド、その友ラフィとイナの物語が語り手や字体を変えてバラバラに語られる。バラバラが纏まり、相互関係が明らかになると期待して読んだ。最後は確かに一つになったが、そこで誰が語り手か、誰が生き誰が死んでいるか判然としない書き方。イーヴィーが経験する差別、ITの発展=AI=富の集中=リバタリアニズム、太平洋環礁のポストコロニアリズム、海洋の美しさと自然破壊、マルチバースと盛り沢山で細部も読ませるが、雑多な印象しか残らず残念だった。2026/04/02
やいっち
58
やはり、素晴らしい。地球大気や海洋の異変という近年叫ばれる問題と、ディープラーニングなどを武器にしてのAIの急激な発達の脅威などをテーマに、人間がどう対処するのか、そもそも対抗し得るのか、その前に存在自体が疑問符なのではないか、そういう「迫りくるシンギュラリティを前に文学の可能性を映し出す、謎と驚異に満ちた物語。」である。2025/12/19
ヘラジカ
43
前作の『惑う星』ではシンプルな柔らかさで魅了し、心を大きく揺さぶってくれたパワーズが、再び壮大な遊び心と高度な技巧によって独自の世界を創り上げた。この一つの視点では捉えることが難しい複雑な神話世界もまたパワーズだ。すらすらと一読しただけは、全体を見通してテーマを理解することは難しいし、終盤のギミックにも追いつくのすら覚束なかったが、生命や科学技術、その結びつきが生み出す人間同士のドラマ、それら全ての源である母なる海の荘厳さが心を打つ作品であった。2025/10/30
tom
29
私が今年読む本のトップテンに入ると思う。そのくらい面白く読む。パワーズの書いたものの一番は「われらが歌う時」だと思っているのだけど、それに次ぐ面白さ。もっとも肩入れをして読んだのはイーヴリン、彼女のせいで海に潜りたいと切実に思ってしまった。ラフィとキーンの友情も読んでいて楽しい。この人間関係がどこに進んでいくのか、どんな結末を迎えるのかと思いながら読み、終わりに近づくと読み終えるのを惜しみながら頁を進める。そして最後に混乱が襲ってきた。そうしてネタバレのコメントを読んで納得したのでした。残念でした(笑)。2026/02/21
ぽてち
29
著者は“アメリカ最重要作家”なんだそうだ。読んだことはおろか名前も知らなかったので、図書館で見つけて大慌てで借りた。苦戦。物語はポリネシア神話から始まる。主な登場人物は4人。三人称のパートが明朝体、一人称のパートが教科書体で著される。時間の流れは一定ではない。そのため注意深く読まないと混乱する。語られるのは4人それぞれの人生だ。特に重要なモチーフが海だ。いや、海こそが主役なのかもしれない。もう一つ、重要なモチーフがあるのだがこれは伏せておこう。一読しただけでは良さが(本当には)わからなかった。再読したい。2025/11/23
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