内容説明
世界から隔絶されているように感じられ、絶望的な孤独のなかで自分自身が分断されていく―統合失調症とはそうした病である。しかし、患者の世界に徹底的に寄り添い、彼らの声に真摯に耳を傾けていくなかでみえてくるのは、苛烈な現実に身を置かざるをえなかったひとりの人間が、それでもなんとか生きようと苦闘する、その姿である。従来の精神医療のあり方に疑問を抱き、反精神医学運動の旗手となった異才の精神科医R.D.レイン。その主著にして、ドゥルーズ=ガタリらの現代思想や、今日のサブカルチャーにも多大な影響を与えつづける古典的名著。
目次
序文/ペリカン版への序文/謝辞/凡例/I/第1章 人間科学の実存主義的‐現象学的基礎/第2章 精神病の理解のための実存主義的‐現象学的基礎/第3章 存在論的不安定/II/第4章 肉化された自己と肉化されざる自己/第5章 統合失調気質における内的自己/第6章 偽自己‐体系/第7章 自意識/第8章 ピーターの場合/III/第9章 精神病への進展/第10章 統合失調症における自己および偽りの自己/第11章 廃園の亡霊・慢性統合失調症の研究/原注/訳者あとがき/文庫版訳者あとがき/参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
88
DCコミック『ウォッチメン』でレイン氏の『結ぼれ』が小さいが印象的な場面で登場していたので、図書館で見つけたこの本を読むことにしました。レイン氏が25歳で本書を書いたという事に驚くしかない。統合失調症を重点に置いていますが、彼らの絶望に耐えうる方法は「正常」と言われる人間も多かれ、少なかれ、取っており、今も昔も全く、変わっていない所に気づく。相手からの無視や無価値化を先取りして防衛する石化、自分のトラウマと抑圧の原因になった人物の嫌な部分を誇張することで自分を通じて間接的に人にその人物を非難させる方法は、2017/05/24
踊る猫
41
ここに自分自身が「ある」。それはこの生身の肉体を伴う、確固とした実存の実感をもたらす……はずのものである。だが、その肝心の「実感」がありありと感じられないほど「自分・自己」が遠く感じられる。そんな病理について、きわめて微細にレインは分析を試みる。ぼく自身過去に自分がどこにいるのかわからなくなるほど頭でっかちに物事を考え、自意識の純度を上げようと試みたことがあるのでいきおい患者側の心理に感情移入してしまう。レインはそうした患者たちをなんとかして理解しようとする。その親身な態度に裏打ちされた分析はなお読ませる2024/01/22
燃えつきた棒
36
以前読んだラカンの本に比べると、嘘のように読みやすくて、分かりやすい。 カフカやサルトルの「存在と無」などの文章が引用されており、とても親しみが持てた。 狂気(特に統合失調症)およびそこに至る過程を了解可能にするという目的で書かれたもので、レインの統合失調症観の基底となっているのは、実存主義及び現象学である。 2019/01/10
さえきかずひこ
17
1960年に発表された本書には毀誉褒貶があったはずだ。何しろ著者は具体的な臨床例を引きながら、実存主義的・現象学的方法で、統合失調症気質や重篤な統合失調症を内在的に分析するのだから。しかし時代遅れーとくに患者の家族関係の重視ーだとか、反医学的ー非客観的ーだとかいう当然の批判をもってしても、レインが真摯かつ徹底的に吟味した文章が切迫感をもってせまってきて止まない。読者は胸ぐらを掴まれたような気持ちでぐいぐいと読まされ、とくに第3部に入った頃にはそっと息を殺しながらもページを繰る指を止められないだろう。傑作。2020/02/11
プロムナード
14
統合失調の分析なのに、コミュ障なこの心の内を言い当てられたように読めてしまいます。何より、客観的分析じゃなく「その人にとっての真実」を探ろうという著者のスタンスは、世界に居場所を感じられないワタシ達にとってとても優しい。エヴァがらみもあって、この本がサブカル方面とやけに親和性があるのも、オタやサブカルの自分事として解釈できる余地が大きすぎるからですよねきっと。これはある種の誤読なんだと思いますが、胸に刺さるのに違いはありません。2018/01/13
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