内容説明
災害により甚大な被害を受けた地にボランティアとして訪れた女性二人組。宿の娘は、生涯独身を貫いた伯父の遺品であるミニチュアの文机と本が入れられたボトルを彼女たちに見せる。ボトルの中の本の開けない頁に記されているはずの言葉をみつけるため、三人は伯父が少年時代の夏の追憶を綴ったノートから、隠された秘密を探っていく――表題作ほか、通り魔殺人が連続して起きている北の果ての町で、アパートの隣室同士になった孤独な男女の交流が思わぬ展開を遂げる「地の涯て(ランズ・エンド)」など五編を収録する。〈七海学園シリーズ〉の名手が満を持して贈る、技巧と叙情が紡ぐミステリ短編集。/【目次】刹那の夏/魔法のエプロン/千夜行/わたしとわたしの妹/地の涯て(ランズ・エンド)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タックン
95
短編集。やはり表題作の(刹那の夏)が印象に残った。 読んでて途中まで淡い恋心を抱いた青春小説とかと思ってたが、震災の津波をモチーフにしてそんな事件がおきるとは思ってなった。 ただ伏線から女性2人の名推理はやや強引な気がしてわかりずらかった。 日本の地方の網元とか元地主とかの跡取り問題が影をさしてる作品でもあった。2025/12/18
buchipanda3
94
「あなたとわたし、共に堕ちていきましょう」。著者、久しぶりの作品。最近そういうのが続いて嬉しい。意味ありげな冒頭の詩や少年と少女の物語の雰囲気にらしさを思い出した。そして言葉仕掛けのこだわりの遊び心にも。表と裏、光と影、表の影に隠れていた真実のコントラストと物語が残す不穏めいた余情が印象深い。表題作と「千夜行」はゴシックを感じた。古風な世界観に訪れる刹那の劇的破綻が現実と幻想の境目を見失わせてしまうような心持ちに。子供を描いた二篇は無垢さの酷がグサりと。最後の篇はさらりとした物憂げな旋律だが聴き味がいい。2025/12/03
シャコタンブルー
57
夏、海、少年、少女そして表紙の絵から・・青春物語かと思いきや暗く冷たい寂寥感に陥った話だった。ボトルブックに記載された謎の言葉は何か、亡き伯父の秘密が次第に明らかになる展開が鮮やかだ。一冊のノートが導く真実、それはめくるめく推理の連続によりあの日の出来事が甦る。蓄積した不安、不信、欺瞞がその時爆発する。一瞬の狂気が迸る刹那の夏が確かにそこにあった。暴かれた秘密は鉛の塊のような重さで心の奥底に沈んだ。2025/12/10
雪紫
45
七河さん久々の新刊は切なく、複雑、ビターな短編集。七海学園よりダークな気がする・・・。悲しくも輝かしい夏だったなぁ、表題作・・・真相が、わかると凄い辛み。表題作以外の好みは「魔法のエプロン」と「妹」。・・・せめて、全編救いを信じたい。2025/11/29
のりすけ
40
短編集。なかなか新作が出なかった作家さんなので読めてうれしかった。どの話も美しい表現で「えぐ…」という話を描いてる。個人的には「魔法のエプロン」と「わたしとわたしの妹」がきつかった。子供が絡むと結構しんどい。大人は適当にやってろと思うが子供はね…。2025/12/19




