内容説明
近未来。野生の象は絶滅し、シベリアには遺伝子工学で復活したマンモスの保護区が創設されていた。かつて象を保護する生物学者だったダミラは死後一世紀を経て、その意識を一頭のマンモスに転送し、群れを率いる存在となる。一方、保護区には、マンモスを狙う密猟者の息子で広い世界を夢見る少年スヴャトスラフや、大金を積んで合法的にマンモス狩りの権利を得た富豪の夫で、狩りに疑問を覚えるウラジーミルらが集まりつつあった――大自然と人間の相剋をSFならではの視点で描ききった俊英のヒューゴー賞受賞、ネビュラ賞・ローカス賞候補作。/解説=勝山海百合
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
51
野生の象が絶滅している近未来の社会を舞台にしたSF。マンモスだけはシベリアで復活しており、牙を狙った密猟者が跋扈しています。主人公の一人ダミラは殺されてしまいますが、最新のテクノロジーの恩恵を受けて、彼女の意識がマンモスに転送されます。200ページ程度の短い小説ですが、様々な要素が絡み合った忘れがたい作品に仕上がっています。特にマンモスと一つになったダミラの意識の変容が面白いです。過去のことを思い出して、内省的になったりします。密漁者である同性愛のカップルの葛藤も巧みに描かれています。ヒューゴー賞受賞作。2025/10/14
よーよー
20
マンモスに一世紀前にバックアップした象の専門家の意識をダウンロードするSF物語。 さくっと読めるSFなので初心者にもオススメです。 特に矛盾点もなくしっかりと最初と最後で伏線も回収されており読みやすい物語でした。2025/12/20
本の蟲
19
ヒューゴー賞受賞の中編SF。野生の象が絶滅した近未来。遺伝子工学で復活させたマンモス保護区がシベリアに創立される。野生を知らないマンモスを率いる存在として、ある個体に1世紀前の生物学者ダミラの人格データが移植された。象の生態に誰よりも詳しく、保護活動の末亡くなった彼女の死因は…。「どうして象ではなくマンモス?」の問いに現実的な解が示されて納得。しかし保護区もまた、際限ない人の欲望からは逃れられない。崇高な理念と予算獲得の手段に生じる矛盾。野生と人の相容れなさ。最近の熊の話題も相まって、なかなか楽しめた2025/10/31
Nao Funasoko
18
象牙密猟により地球上から象が絶滅した近未来のシベリアが舞台。象を保護する生物学者だった ダミラの意識が一世紀の時を経て遺伝子工学で復活したマンモスに移植される、、、、 ちょっと毛色の変わったSFだった。登場人物のロシア系の名前の読みにくさ以外は案外読みやすい。(^^;)2025/10/26
伝奇羊
9
著者の第三作に当たる長編、マンモスに、アップロードされた人間の意識を移植するなど SF的要素はバックボーンとしてあるんだけど密猟や野生生物の保護、共存が重要なテーマの様だ。最初の方でマンモスとしてのダミラと人間としてのダミラの回想が入り混じっていてちょっと混乱した。最後の方で味方になった少年を追いやったり、だんだんと人間としての考え方?を忘れていくダミラは人間の意志を持つマンモスとしての役目を終えて、野生に帰って生きていくのだなと思った。2025/11/08
-
- 電子書籍
- 甘い生活 タテマンガ版【タテヨミ】 L…
-
- 電子書籍
- 母塚さんを××にしたい。 第312話 …
-
- 電子書籍
- 貴族令嬢。俺にだけなつく【ノベル分冊版…
-
- 電子書籍
- 会社に行きたくない!【タテヨミ】第7話…
-
- 電子書籍
- 優しいあなたを守る方法【タテヨミ】第1…




