内容説明
高齢者の疾患全般を診る老坂クリニック。院長の小町先生には短歌の趣味があり、治療に応用も。現役医師作家が描く書下ろし医療小説!
東京・自由が丘にある老坂クリニックは「老年内科」を看板に掲げる、高齢者の疾患全般を診る診療所。ちょっとした坂を上り切ったところにあり、お年寄りにはきつい。医師は2人。普通の高齢者の治療がしたいと言って、都心の大学病院から移ってきた31歳の山里羊司医師と、赤茶色に髪を染めた68歳のベテラン・老坂小町院長だ。小町先生には短歌の趣味があり、患者への診察メッセージを短歌に込めるという特技を持つ。それが治療に役立っているのかは不明だが。そして集まってくる患者は狙いどおりお年寄りばかり。今回の診療項目には、エンディングノート、白内障、免許返納の三つが並ぶ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
133
南杏子さんの文庫書下ろしは「受診はご家族同伴で」と言う『老年内科』を看板に掲げる【老坂クリニック】が舞台。連作3話はエンディングノート(75歳)、白内障(68歳)、免許返納(82歳)の処方せん。どれも当人の気持ちと家族の気持ちが分かるので、ウンウンと、はぁ··が行ったり来たりしていた。新シリーズ2ヶ月連続刊行とあるので、続編も楽しみにしたい。2025/09/30
モルク
103
自由ヶ丘の急坂にある高齢者専門の「老坂クリニック」。院長の小町先生と大学病院から移ってきた山里医師が高齢者の診察に、相談に向き合う。エンディングノート、白内障手術、免許返納を扱った3話の連作短編集。自分の「老い」はなかなか受け入れがたい。このクリニックの「家族同伴」という方針はすごく納得できる。虚偽とまではいかなくともオブラートに包んだりずっと抱えてきたことも最近急に…とか自己申告は都合よくなりがち。免許返納、これが難問。免許を取り上げるのではなくどのように納得させるか。いやー難しい。続編も楽しみだ。2025/12/02
itica
88
血圧や血糖値が気になる、膝通や腰痛、目がかすむ、認知症かも?等々、若い時分には考えもしなかった様々な問題が老いと共にやってくる。老年内科を掲げる老坂クリニックを訪れる迷える老羊をパワフル小町院長と若き山里先生がフォローする物語。私にとっては他人事とは思えないが、エンディングノートの内容の細かさにはちょっと引いた。 2026/01/27
ゆみねこ
77
東京・自由が丘の「老坂クリニック」は老年内科を看板に掲げている。ベテラン院長の老坂小町と医科大学から出向している若手の山里羊司の2人で診察にあたる。第一話「私のトリセツ最終章」は同居する息子の嫁にエンディングノートの記入を急かされ悩む男性。第二話「もう一つのまなざし」白内障の手術に怯んでしまう女性。第三話は「Keyを置いたその先に」運転免許証の返納問題。我が身や老母を介護する立場から身につまされる内容。2025/11/01
Ikutan
61
『老年内科』を看板に掲げる「老坂クリニック」の第1弾。第2弾を先に読んでしまったので、短歌が趣味の小町院長や若い山里先生にまた会えたという感じ。メニューは、エンディングノート、白内障、運転免許返納。これは高齢者誰もが身近に感じる問題ですね。小町先生の処方せんは、押し付けではなく、納得できる内容。必ず短歌が添えられるのが味わい深い。そして、こちらも、最後に小町先生の夫とのエピソードを詠んだ歌が何とも切ない。2025/12/20




