内容説明
騙し騙され、
知恵と欲の
丁々発止の果て
手にする物は?
天保の世。大坂の道具商の放蕩息子・「どら蔵」こと寅蔵(とらぞう)は、なまじ目利き自慢であるのが運の尽き、奉公先に大損害を与えてしまい、大坂にいられなくなりました。旅に出て辿り着きたるは、知恵と欲が渦巻く江戸の骨董商の世界。手練れたちに揉まれながらも大奮闘! できればよいのですが。そううまくは運ばないのが世の常、人の常。お宝を巡って時に騙され、時に勝負をかけ、時々情に流され――。丁々発止の果て、どらちゃんは「真物(ほんもの)」の目利きになれるのか?
魅力的なお宝そして登場人物(キャラクター)がてんこ盛り!
読み終えるのがもったいなくなるエンターテインメント時代小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふわりん
10
アンソロジーを除くと「青姫」以来の朝井さん、新聞小説ながら中弛みもなくちゃんと最後まで面白く読んだ。このどら蔵こと寅蔵は歳のいった丁稚奉公を途中でほり投げたにも関わらず、実戦あるのみの修行(?)を重ねてどんどんレベルアップしていく様が気持ち良い。私なら家から叩き出された時点でまず挫折して、例え江戸に辿り着いたとしてもあの厳しい状況にまた挫折して、そこで話は終わってしまうと思う。でもどら蔵は違う、悪い方へ転がっていても心は上へ上へ這いあがろうとなりふり構わない。この根性は素晴らしい!大成する続編はないかな。2025/09/26