内容説明
☆2026年本屋大賞受賞☆
【第9回未来屋小説大賞】
【第2回あの本、読みました?大賞】
沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
850
現代の孤独や生きづらさを、物語の側から解釈する試み。主な登場人物は3人。久保田慶彦(40代後半。 大手音楽プロモーション社の社員。ただし、経理等のバックスタッフ)、武藤澄香(21歳。久保田の娘だが、両親は離婚していて、母と暮らす学生)、隅川絢子(20代後半。 非正規で働く)がそれである。久保田と澄香には接点はあるものの、極めて薄い。それぞれの3人の物語が独自に進行してゆくが、とうとう最後まで交わることはない。もっとも、最後に接近遭遇はするのだが。朝井リョウの現代を切り取る上での着眼はたいしたもの。⇒2026/01/13
starbro
735
朝井 リョウは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者15周年記念作品は、押し活家族小説でした。新興宗教も押し活も同類、資金力があって洗脳が続いている限り、幸福感は継続するんでしょうね。どちらかが途切れると地獄が待っています(笑) https://info.nikkeibp.co.jp/books/campaign/121045/2025/09/19
yuuguren
541
ファンダムや推しとは全く無縁なのでついていけるだろうかなどと思いつつも、朝井リョウの一点で手に取った。結果は大いに楽しめて大満足。特別戦略室の国見がファンダムを分析する口調がシレっとしているものの馬鹿にしているようで面白い。随所に著者が世相を言語化する技巧の素晴らしさがちりばめられ、また構成として主人公の3人が最後に交錯するクライマックスはありがちだが期待通り。しかし澄香のパートでは知らない単語が頻出するので、スマホ首っ引きの必要があったのが唯一の難点だった。2025/10/30
mako
498
この本で語られている文脈の外で生きている人は、いったいどれくらいいるのだろう?「自分を使い切る」という言葉は麻薬だ。そこまでの没頭はしてみたくてもできない。かといって対象と適度な距離を保って生きるのも難しい。生きていくってなかなか大変だ…2025/11/02
R
496
推し活を舞台装置にして、人間の狂騒的な姿を描いた作品。目を逸らせるために盲目を選択するという理性と本能の妥協結果が最悪のそれだという姿がいっぱい出てくるんだが、誰にでも思い当たる節がありそうな内容でとても興味深かった。極端な例示のようでもあるけど、案外誰にでもその瞬間、考えはよぎりそうだなと思えるし、とても面白いのだけども、理性的であることもまた欺瞞なのかもと思ったり、破滅願望の顕在のような姿が真実とも言い難く、不安を描いた小説で楽しめた。2025/12/30




